葛西臨海水族園がリニューアル。オープンは2028年3月を予定している。
葛西臨海公園内に1989年に開園した葛西臨海水族園は、500種を超える世界の生き物に出会い、水辺の環境を知ることができる、ガラスドームの建物が印象的な水族館。ドーナツ型の大水槽で見られるクロマグロの群泳や、国内最大級のペンギン展示場で泳ぎ回るペンギンの姿など見どころも盛り沢山となっている。
そんな葛西臨海水族園のリニューアルが決定。「海と接する機会を創出し、海と人とのつながりを通して海への理解を深める水族園」を理念に掲げ、展示・空間演出のアップデート、環境保全への貢献など、大人も子どもも楽しめる新たな水族園の整備を図る。
新水族園本館は、現在の建物よりも北側のエリアに設置。周囲には、水族園利用者以外も利用可能な広場「共生の杜」、エネルギーセンター棟、大型水槽用ろ過機置き場、脱窒棟を設ける。なお新たな水族園のオープン後も、既存の水族園は建物を保存する予定。
新たに生まれ変わる水族園では、新たな展示エリアを豊富に用意。地下1階から2階の3フロア構成で、地下1階に「遠い海エリア」「教育普及エリア」、1階に「近い海エリア」「海鳥エリア」「河川エリア」、2階に「東京湾エリア」を設ける。
中でも注目の展示となるのが、「遠い海エリア」内の外洋大水槽だ。リニューアル前の葛西臨海水族園は、「大洋の航海者 マグロ」水槽でのクロマグロ展示が目玉となっているが、リニューアル後もクロマグロの群泳は引き続き展示。3,000トンの巨大水槽を設置し、迫力満点のクロマグロの群泳を展開させる。また、五感を刺激する演出により、ダイバー視点でクロマグロの姿を楽しめる。
東京湾口における深海の特異な環境と、そこに暮らす神秘的な深海生物の魅力に迫る展示にも注目。深海生物や北極・南極といった極地に生きる生物の展示とと共に、生息する環境を光や温度により再現し、疑似的に深海や極地を体感できる空間を演出する。深い闇に囲まれた深海の世界、氷の世界が広がる極地の環境を感じながら、生き物たちの生態や、どのような進化を遂げたのか知ることができる。
オウサマ、ミナミイワトビ、フンボルト、フェアリーの4種類のペンギンは、リニューアル後も継続して飼育。オウサマとミナミイワトビが住む亜南極、フンボルトとフェアリーが住む温帯をそれぞれ展示内で再現し、ペンギンたちが本来の環境の中伸び伸びと暮らせるよう整備する。
ペンギンたちが水中に飛び込んだり、歩き回ったり、自由自在に泳いだりできるよう、岩の設置やプールのサイズにもこだわる。ペンギンをより間近で鑑賞できるような仕掛けも設ける予定だ。
また、サンゴとそれを取り巻く生態系を再現した大水槽など、900種を超える様々な生き物たちに沿った展示水槽を展開する。
これらの新たな展示に加え、新水族園オープンに向けた3つのプロジェクト「サンゴプロジェクト」「おさかなプロジェクト」「みんなで考えるアクセシブルプロジェクト」も実施予定。サンゴの生態や生息環境を学ぶ観察会、展示の解説パネルを一緒に作成できるイベントなどを開催する。オープン前からワクワクできる、共に水族園をつくりあげることができるようなプロジェクトとなっている。