エトロ(ETRO)が2014年9月19日(金)、ミラノで2015年春夏コレクションを発表した。毎シーズン巧みな柄使いや溢れる美しい色彩の波を起こすエトロには、今季人気のボヘミアンテイストがよくはまる。テーマは、"FREE SPIRIT"。デザイナーがイメージしたのは、"クリエイター"。自分の芸術的発想を服にそのまま反映させて自由な着こなしを楽しむ女性像だ。
メインは、トライバルの要素。ジャケットやボトムスのウエスト部などのトリミングとして使ったネイティブアメリカン柄がコーディネートを引き締め、ガウンはナバホ族のブランケットを彷彿させた。ただ、ボヘミアン、トライバルといっても想像するような土臭さとは無縁で、フェミニティや繊細さに溢れている。プリントやビーズ、刺繍などのディテールはバラエティーに富み、じっくりと眺めていたい気持ちにさせるほど。
ドレスは、胸元のカッティングとウエストマークで女性的なラインを強調。アウターやシューズに使われたカラースウェードも、くすみを帯びたピンクやパープルなどの淡いトーンが採用されいて、愛らしい。各ルックごとに使用する色彩がまとめられているのも、洗練への鍵か。
小物にまで自由なスピリットは行き届いている。首元を飾るアクセサリーは、ビーズ、原石のように無骨なストーン、フェザーなど異なる素材を思いのままに重ね付け、フリンジブーツは、上からスエードの紐をぐるぐると巻き付けることでユニークな表情が与えられていた。
エトロの顔であるペイズリーは、いつもより流線的にシフトされ、民族調のワンポイントと織り交ぜて旬に仕上げた。一見リラクシングなアイテムも、使われているマテリアルは一級品。フリンジは細かく、ガウンのしなやかな動きはシルクならでは。今回表現する世界観に合うように、わざと使い古されたような加工を施した生地もある。この肩の力を抜いた雰囲気と使用されたリュクスな素材の絶妙な対比がコレクションの見所だったともいえるだろう。