アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)が2015年秋冬メンズコレクションをロンドンで発表した。
時に私たちは忘れがちである。ユニフォームとは従来、職務や任務を前にして、すべての人々が平等であることのシンボルだということ。それらを身に着けることで、誇りや勇気、真実を共有しているのだということを。今シーズン、同ブランドはそんなユニフォームに焦点を当てたスタイルを提案した。
コレクション前半で、ジャケットやコート、ニットに大胆に描かれているのは、ユニフォームが持たせる共有意識を意味する言葉、“HONOUR=誇り”や“VALOUR=勇気”、“TRUTH=真実”など。コートやジャケット、パンツはウールのピンストライプで、暖かみを感じさせる。
同ブランドはコレクション内で、イギリスの階級別の伝統的なシルエットをバラバラにし、新たに再構築している。例えば軍隊のミリタリージャケットは、礼装であるチェスターフロックコートへと。また、労働者階級を象徴するドンキージャケットは、上品なテイラードの要素が加えられている。
これ以外にも、ミリタリーアイテムから3ピースのスーツまで、様々な階級のスタイルに一貫して花柄を取り付けるなど、階級を超えたユニバーサルな“ユニフォーム”を作り上げている。また、軍隊で見かけるメダルが随所に付けられたコートやパンツも登場。
ユニフォームを身につけることで全体主義や個性の消失など、世界中で異論が唱えられ、議論を醸す今の時代。本コレクションは、そんなユニフォーム元来の意味に立ち返りつつ、個性と結束力の象徴として提唱した。