2015年2月25日(水)、グッチ(GUCCI)がミラノファッションウィークで、2015-16年秋冬コレクションを発表した。
会場は、毎シーズンと同様ピアッツァ・オベルダン。だが壁面は真っ赤に塗られ、場内は来場者の活気で溢れていた。というのも、今季はアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が手掛けるファーストコレクションである。皆々のショーへの期待は、想像以上であったに違いない。
テーマは「The Contemporary is the Untimely」。今という時代に同化も順応もせず、断絶することこそが、現代を理解し自分自身の時代を築くことに繋がるのだ…という意思の強さをも感じられるこのフレーズは、ミケーレが描く新時代の幕開けに相応しい。
弦楽器の音色と共に、スタートしたショー。特筆すべき演出は、メンズモデルの起用だ。2015-16年秋冬メンズコレクションでも、ジェンダーレスなワードローブを提案していたが、今シーズンも同様に、中性的なルックが登場。男性、女性どちらのモデルも身に着けたものは、ジャケットとパンツのセットアップが中心。全面にフラワープリントをあしらったもの、パイピングを施したもの、前身頃にボタンを並べたものなど、フェミニンでシャープな雰囲気のアイテムが揃った。
またノスタルジックな魅力を持つ、鳥や花のモチーフに注目したい。イギリス・ジョージ王朝時代にインスパイアされた鳥は、キラキラとした刺繍となり、グッチらしいファーコートのバッグスタイルを彩った。さらにタペストリーから着想を得たという花は、刺激的なブルーのニットを立体的に飾ったり、はたまた駆け抜けるようにランウェイを消えていく、柔らかな素材のワンピースにあしらわれたりと、アイテムごとに異なる雰囲気を咲かせた。
プリーツの魅力に気付かされたのも、今季の特徴ではないだろうか。ファーストルックを飾ったレザースカートを筆頭に、メタリック素材のスカート、ワンピースなどに採り入れたが、幾何学模様との組み合わせやランダムな配置など、素材やアイテムの持つ特徴に応じて、表現方法を変化させているのもおもしろい。
小物も充実のラインナップ。ベレー帽や眼鏡だけでなく、花の首飾りやヘアアクセサリー、ニット帽子などを採り入れたルックが並んだ。メンズコレクションとの連動を強く感じさせる、これらのコーディネートからは、性差を越えて、ファッションを楽しむことを改めて教えてくれているかのよう。今後のミケーレが描くムーブメントに期待が高まるコレクションとなった。