2015年2月26日(木)、プラダ(PRADA)が2015-16年秋冬コレクションをミラノファッションウィークで発表した。
会場に一足踏み入れると、宇宙船のような空間が広がっていた。パステルピンクやライトグリーンの丸いセル、それぞれを繋ぐシルバーのコネクション。昨シーズンのダークトーンから一転、フレッシュなカラーリングがショーへの期待を高めた。
ファーストルックを飾ったのは、ジャストサイズのジャケットと裾広がりのアンクル丈パンツを合わせた、クラシックなスタイル。どこか近未来的なムードを醸し出すのは、立体感のあるダブルジャージを採り入れたから。その後も、コクーンシルエットのワンピースやフレアトップスなどを通して、同素材へのアプローチが継続され、今季を特徴づけるディテールだと気付かされる。
また、淡いパステルカラーで表現されたツイードも、鍵を握る。興味深いのは、“本物”のツイードと並んで“フェイク”ツイードが紛れていること。大きなボタンが並んだベストとフレアスカートあわせたルックから見ることができる。その遊び心に気付いてしまうと、ミウッチャ・プラダの虜になってしまうだろう。しかし彼女は、もっとサプライズを届けてくれた。オーストリッチのジャケットとコーディネートされたのは、またもや“フェイク”レザー。繰り返される仕掛けにより、リアルとフェイクの境界線が判別できなくなってしまう。
カラーパレットに負けないくらい可愛らしいのは、デコレーションの数々。プラスチックビジューを用いた刺繍、部分的に採り入れられたミンク、ショルダーラインに施された大きなリボンなど。また卵のように丸みを帯びた、立体的なバックスタイルや、大胆にカッティングされた首元など、細部に加味されたデザインにも、女性的な要素が反映されていた。
小物での遊びにも注目したい。40~50年代のムードを持つ、花のブローチを襟元に添えて。同じデザインのヘアアクセサリーも展開され、アップスタイルでまとめたモデルたちのヘアーを飾った。ラバーソールを合わせた、チャンキーヒールのシューズやナッパのロングブーツ。さらにバッグにバッグを重ねた“バッグインバッグ”に見える新作バッグ、ゴージャスなグローブも揃う。
アイテム、ディテール、デザイン……。どれも特筆したいものばかりだが、分子を意味する「モレキュールプリント」が、今季を示すメッセージのように感じた。モダニティとクラシック、リアルとフェイク。相反する原子を結合させ、“ミウッチャ・プラダの世界”という1つの分子を構成しているように感じたからだ。