2015年3月20日(金)、ハナエモリ マニュスクリ(Hanae Mori manuscrit)の2015-16年秋冬コレクションが、東京・渋谷ヒカリエで発表された。
刺激的な街ニューヨーク、その一角に穏やかに佇むハイ ライン(High Line)。かつて貨物列車が通っていた線路は、草花が植えられ空中遊歩道となり、忙しいニューヨーカたちの生活を支えている。建造物と植物が共存したモダンな空間を着想源に、天津憂が今シーズンを描く。
多種多様なカルチャーが混在するニューヨークのように、今季は相反するものの混同がキー。硬いものは柔らかく、直線的なものには丸みを与えていく。ストライプやラインを重ねた模様は、コクーンシルエットのワンピースやフレアスカートに採り入れられた。またマキシワンピースは、縦のラインを意識した大胆なスリットを配している。しかし、歩くたびに帯状の生地が左右に揺れ動くことで、柔らかな空気が生まれる。
融合という思考は、素材へのアプローチでも継続。コレクションを通して、何度も登場したレースは、ウールで挟み込むことで、あたたかみと繊細さ、儚さが1つに。アイコニックな蝶モチーフを取り入れているのもポイントだろう。ハードなイメージのライダースジャケットに採り入れることで、上品なアイテムにアップデート。
遊び心のある装飾は、ワードローブに個性を与えていく。バックスタイルにあしらわれた、ベルトのような太いラインや羽のようなフリル。アシンメトリーにフリルを用いて、ヘムラインには多彩な表情を持たせて。またサテンやファー、レースなど、部分的に異素材を取り入れているアイテムも揃った。
その遊びを活かすのは、厳選されたカラーパレット。序盤はコンクリートをイメージしたグレーなど重厚感のあるもので、都会を表現していた。後半にかけて、蛍光色を取り入れ、スピード感を加えていく。花々のように鮮やかなイエロー、オレンジ、パープル、ライトブルーは、単色で採り入れることで、ディテールを効果的に見せていた。
ハナエ モリ デザイン バイ ユウ アマツのセカンドシーズンは、自立した女性たちへ捧げたものだそう。過去のアーカイブを見るのは、制作前だけ。しかし途中で森英恵とミーティングを重ね、1つのショーを創り上げていくという。ショー終了後、そんな裏話をしている天津のもとに森が駆けつけ、激励の握手を交わしていたのが印象的だった。