これまで膨大な数のインタビューの中で、ラディカルであると同時に繊細な言葉を語ってきた山本耀司。そんな謎めいた彼の初となる自叙伝が3月29日に発売される。
今回の自叙伝は、独特の語り口でかわされ続け、本題としてけっして触れられることのなかったテーマに漸近的に触れる。それによってヨウジという男とはいったい誰なのか、彼が人生を賭けて追求してきたそのクリエーションの源泉はどこにあるのか、といったことに輪郭を与える試みとなっている。回顧的な態度を嫌う山本耀司。この自叙伝では、通常の時系列的な方法はとらず、常に「今、ここ」にたち続けるヨウジのまさに今を捉える。
ディープなアプローチによって、ファッションデザイナーであるよりも前に、一人の男として、人間としての「ヨウジ」の核心、さらに「自らのsavoir-faireを若い人たちに伝えたい」というヨウジの願いを形にした章が続く。生地、ヴォリューム、シルエット、ポケットなど基本となるテーマについて、技術論とその背後に横たわる人生哲学を自ら語る。
ヨウジの声に共鳴する形で続く松岡正剛氏の評論(テーマ : ヨウジヤマモトに見る日本的なるものについて)が、さらなる深みへと誘う。自叙伝の最後ではポイントとなる年を追って、プライベートな写真を交えながら、山本耀司の経歴を振り返る。
【書籍概要】
MY DEAR BOMB
共著者 : 山本耀司、満田愛
本体価格 : ¥2,800
208ページ
出版社 : 岩波書店
グラフィックデザイン : ポール・ボーデン