マックスマーラ(MaxMara)が、2015年5月20日(水)、ロンドン・オールドボンドストリートに旗艦店をオープン。それを祝し、2016年リゾートコレクションを発表した。
今シーズンの起点となったのは、写真家セシル・ビートンの作品「ファッションは不滅(Fashion is Indestructible)」だ。破壊された煉瓦の建物と、上質な衣服を纏い、その前に毅然とたたずむモデル。そのコントラストが、自らの仕事を黙々とこなすロンドンガールを表現している。
そんなワーキングウーマンのスピリットに、アナ・ウィッタムが手掛けた書籍「ボクサー・ハンサム」のストーリーを重ねていく。ロンドン版「ロミオとジュリエット」とも評される、この作品の舞台は、ボクシングクラブ。誇りや愛、嫉妬、民族間で起きる紛争の中を生き抜く、主人公・ボビーの戦う姿勢からもヒントを得て、コレクションは進んでいく。
ファーストルックを飾ったのは、ボクサーショーツに大きなスリット入りのロングパンツを合わせたもの。ウエストに配された大きなM字のマークにも惹かれる。このボクシングスタイルは、コレクションを通して展開され、チャンピオンベルトのようなウエストマーク、ミンクのヘッドギアやグローブなどが、スポーティなムードを盛り上げている。コートやショールをタオルのように羽織った姿は、リングに向かうボクサーを想起させる。
女性の強さを体現したのは、イギリス軍の軍旗から生まれたストライプ柄「レジメンタルストライプ」。ロングコート、ダブルのジャケット、ワイドパンツといったマスキュリンなアイテムに採り入れ、さらに全てをレイヤードすることで、都会的な雰囲気を演出している。時折差し込まれる、チューリップ形にカッティングしたドレスやラップスカート、花のコサージュなどは、儚く繊細なもので、か弱い一面を表しているよう。
写真からインスピレーションを得たのだろうか、写実的なフラワーモチーフが登場。ロンドンの街中に咲く花のように豊かな色彩が、ワードローブを彩っていく。また、透け感のある素材をセレクトすることで、花々が重なり立体感が生まれ、生命感に満ちている。そんなフラワーが咲き誇るように、中盤になると、装いはピンクやイエローに染め上げられていく。鳥のさえずりが聞こえてきそうな小さな柄や、写真のネガのようなリキッドな模様も揃った。
今シーズンは、実に写真的だ。フレームに収めた1つシーンのように、鮮やかなカラーはロンドンの街中を、ボクシングスタイルは女性の強さをイメージさせる。写真の奥に広がる深いストーリーのように、ワードローブに込められたデザイナーの思いが知りたくなった。