イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)がパリファッションウィークにて、2011-2012年秋冬コレクションを発表した。
きらきらぼしのピアノのメロディーに乗せて、白いテープを折りたたんでいく。それをモデルがまとえば、様々なフォルムのドレスやスカートが誕生する。イッセイのモノづくりを目の当たりにするプレゼンテーションでショーは幕を開けた。
今季のテーマは「ロンド ♯2」(輪舞曲)。ある同じ旋律が異なる旋律を挟みながら何度も繰り返される楽曲の形式。服作りの製造工程の中にサスティナブル・プロダクトを取り入れる手法を模索し、採用されたのが一本のテープ。製造過程において残布の少ないこの形状を使って、シンプリシティー(簡潔さ)を追求した。2007年秋冬コレクションで登場したジグザグの形態が、テープの折り方として再び登場。アイテムごとに幅を変えたテープが、トップスやスカート、ドレスなどに変化する。
白と黒のモノトーンで始まったコレクションは、鮮やかな朱色、赤、ブラウン、エレクトリックブルー、グリーン、そしてやわらかなグレイとクリームホワイト、さらに虹色の光が重なるフィナーレへと続く。ドラマティックなジャカードの柄も印象的。ジグザグ模様が進化して、ヘリンボーン柄がチューリップ柄へと変わっていく。それはまるで魚のパターンを繰り返すうちに鳥へと変わっていくエッシャーの絵のように。使用された生地は沖縄を代表する芭蕉布(ばしょうふ)、宮古上布(みやこじょうふ)、そして紅型(びんがた)。作り手の心が伝わってくるこれらの素材は、福木工房、藤崎工房、バナナネシアの職人と共に長い時間を費やして作り上げられた。伝統的な服地を「ロンド ♯2」のコンセプトで形作れば、今までにない服の形が見えてきた。
彼らのモノづくりは、まるでロンドのように美しいハーモニーを奏でながら、イッセイ ミヤケが作り上げた歴史やDNAを継承して、飽くなき探究心と創造心を携えて続いていくだろう。