ヒロミチナカノ(hiromichi nakano)の2015-16年秋冬コレクションが、2015年7月3日(金)に東京・銀座で発表された。
今季、中野裕通が目を向けたのは着物。中でも、昭和初期の銘仙にファーカスを当てた。一度解体された着物は、反物へと戻され、さらに補強を加えることで、現代に添うワードローブへと再構築されていく。
色鮮やかな和柄は、Vネックドレスの襟元やシャツの裾などに配され、ワードローブに彩りを添えている。また、着物スリーブもふんだんに採用。ブラックのトップスやホワイトのブラウスは、余韻を残すかのように、アームの部分がゆらゆらと揺れ動く。まだ半袖のロングガウンも、帯のようにウエストラインにリボンを配し、和のエッセンスを感じさせる。
一方で、ポップなウェアも共存している。テントウムシやバナナ、さくらんぼなどの愛らしいモチーフをあしらったニット、大きなドット柄のコートやワンピースなどが揃う。プリーツ加工での表情の引き出し方もうまく、アシンメトリースカートや間に模様を挟んだドレスなどがラインナップ。カジュアルになりがちなショートパンツも、サイドにプリーツ加工を施し、動きを加えることで、上品な印象を与えている。
ショー終了後、中野は「日本に住む日本人だからこそ作れるものを。和と洋どちらも大切だから。」とコメント。着物や伝統的な生地を残したいという力強いメッセージ性を持たせつつも、和と洋どちらの長所もほどよく採り入れ、“和洋折衷”というワードが相応しいコレクションに仕上げていた。