アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)が、2016年春夏コレクションをフランス・パリで発表した。今季のキーワードは「ミュージック」。実はベーシストでもある、クリエイティブディレクターのジョニー・ヨハンソンの日常から音楽を切り取り、デザインに落とし込んだシーズンである。
ビニルやビーズで形成されたギターモチーフ、CDから着想を得たグラフィカルプリント、ギターケースの内側に貼られたような真っ赤なベルベット。また、ドレスやトップスのショルダーラインに配された太く厚いテープもギターストラップをイメージしたものである。そこらかしこに音楽の要素は溢れ、色鮮やかな模様やパンチの効いた小物が、ロックな雰囲気を奏でている。
また、2016年リゾートコレクションから引き続き「DIY」に着目。ジャケットの襟元からフリンジのように糸が飛び出ていたり、切り込みの入ったラペルを用いていたり。またヴィンテージ風のテーラードジャケットにも、ベルベットポケットがパッチワークされている。ひと手間加えることで生まれるオリジナリティと、製作のプロセスを垣間見たような未完成さが、今シーズンのアイデンティティを形成しているよう。
アイテムは、素材のコントラストが強くカラフル。スネークスキンを貼ったテーラードジャケット、ブラトップを貼り付けたようなワンピース、長方形のウィンドウスリットを配したロングドレスが揃う。また光の加減によって、色の濃淡が変化するウォッシュベルベットドレスはキーアイテムだ。個性の強いウェアだが、デザインの根底にあるのは、デイリーで使用できる着心地のよさ。そのスピリットには、リラックスしたスリッパやソックスブーツがよく合っている。