コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)が、2016年春夏コレクションをフランス・パリで発表した。今季のテーマは、青い魔女を意味する「ブルー・ウィッチ」。コレクションは、ブランドを代表する「黒」から始まり、「青」の世界へと移り変わっていく。

肩からアーチ状に大きく広がったドレスから、コレクションはスタート。中央部分には、筒状の突起物が、身体を包み込むようにいくつも配されている。ベースとなる生地がつるりとしているためか、この装飾の光沢感と立体感がなおさら浮き立って見える。

続くのは、先ほどのフォルムとは大きく異なる、コンパクトなドレス。腕を通すという洋服の概念は壊されていて、ファーベルトのようなもので、手は固定されている。裾はアシンメトリーになっており、歩くのに支障はなさそうだが、モデルの顔はなんとか認識できるほど。その後も、右肩だけが上に向かってのびているもの、上下左右さまざまな方向に球体上のふくらみをもたせたもの、顔を包み込むほどに変形したものなど、特異な形状のドレスがつづく。連続性のある予測不可能なフォルムは、観る者の想像力を掻き立てる。

強烈なインパクトによって見落としがちだが、ネックラインから裾にかけて直線的にあしらわれたフリル、スカート部分にたっぷり施されたギャザー、花模様のジャカード生地などからは、女性らしさが感じられる。また、今季のキーファブリックである、シルクサテンとベルベットは、折り重ねたり、きゅっと強く結ぶことで光を集め、ミステリアスな雰囲気を醸し出している。

ファーやフリルなどをより贅沢に使って、ラストへつなぐ。濃淡の異なる青色は真っ赤なヘアと対峙させることで、それぞれの色彩の魅力を存分に発揮。テーマの一つである「ブルー」は、わかりやすく示されている。しかし「ウィッチ」の部分はどのように表現されていたのだろうか。今季もやはり、コレクションの根底にあるものを考えさせられてしまった。