TOGA(トーガ)が2016-17年秋冬コレクションをイギリス・ロンドンで発表した。地球の大自然に混沌と存在するすべてのモノを、理由もなく装飾として取り入れた今季。踊る人、コーヒー、カエル、キャンディー、ハリネズミ、球体、平面…。デザイナーの古田泰子曰く、それらは単なる趣味趣向品に過ぎず、すべてに深い意味はないという。
しかし、流れるランウェイの中で不思議なまでにすべてが違和感なく共存している。色鮮やかなイエローとブルー、そしてダルメシアンやヒョウの柄が彩る大ぶりのファーの浸食は止まず、ひとつの“物体”として、身頃から独立して袖や手先、首元に居座っている。ミトコンドリア、ゾウリムシ、細菌たちはモチーフとして、チャームなどの小物に形を変え、洋服に新たな生命を宿した。
TOGAらしいメタル装飾でさえ、いつもは無機的なはずなのに今回ばかりは違う。ベルトやサスペンダーに用いられて、個体同士を結びつける一要因として組み込まれたものがあった。すべてが有機的に転換され、ワードローブを活性化させているように映る。
そのベースとなるのは、意外にもジョーゼットやチュールを用いたロマンチックなドレス、ロング丈のクラシカルなコート、ラグジュアリーなファーのガウンなど。肩からひじにかけて膨らみ、手首に向かうほどタイトになるジゴ袖を採用した、近未来的なメタリック素材のカットソーとエレガントなブラウスも目に留まる。袖のボリュームとは対照的に身頃はタイトに仕立て、さらにはウエストマークやタックインでハイウエストに見せることで、体の曲線美を滑らかに表現した。
ワードローブはあくまで女性性を意識したもの。そこに溶け合った趣味趣向品は、偶然ではなく必然的に心地よく結び付けられているようであった。