H&M(エイチ&エム)のコレクションアイテムを展開する、H&M Studio(エイチ・アンド・エム・ストゥディオ)は、2016-17年秋冬ウィメンズコレクションをフランス・パリで披露した。
発表当日の2016年3月2日(水)、パリ市内では雪が降った。ランウェイショーの会場は、この天候に相応しく、凍った湖をイメージ。霜のついた木が大きく枝をのばし、フロア全体には、氷の張った水面の模様が描かれていた。
繊細な背景とは裏腹に、ショーピースが表現したのは「ストロング ウーマン」。マニッシュスタイルをモダンにアレンジし、スーツ地のベアトップ、ピンストライプのボリュームガウン、パンツのセットアップなど、男性的な要素を散りばめている。また、シルエットも、ロングでワイドなものが主流で、キャメルのガウンコートやグレーのロングコートは、アームラインも長く設定されていて、くしゅくしゅと腕をまくった姿がますますパワーを感じさせる。
一方で、総柄のマキシドレスやスリット入りスカート、フリンジジャケットなどは、生地を贅沢に使用しているため、ゆらゆらと揺れ動き、流れるような豊かな表情を魅せてくれる。フォークフロアのフィーリングもキーポイントで、スウェーデンの民族衣装を想起させる刺繍入りのパンツや、デニムオンデニムのカウボーイスタイルなどは、華やかさをあわせ持ち、ロマンティックさを加えた。
厚手のボアジャケットやニットに、透け感のある素材を合わせた、異素材の掛け合わせが多く、ランジェリーの要素も詰め込まれている。文化やテイストなどの枠組みを超えたミックスアンドマッチは、起用されたモデルたちにも反映され、女優、歌手、ブロガーなど、人種・世代の垣根を超えた人選だ。
ショー終了後にはデザイナーのアン・ソフィー・ヨハンソンにインタビューを実施。今季のクリエーションについて話を聞いた。
Q.今季、インスピレーションとなったものは何でしょうか。
様々な要素が入り混じっています。スウェーデンの民族衣装であったり、有機的なフラワーモチーフ。ガウチョパンツやカウボーイブーツからのエッセンスも。それから、スウェーデン出身の女優イングリッド・バーグマンからもイマジネーションを膨らませました。豊富なラインナップを揃えて、幅広い年代の女性たちに似合うものを提案しています。
Q.世代を超えて…といえば、モデルの選出もユニークでしたね。
そうですね、H&Mらしい“多様性”をショーで見せたかったんです。色んな女性がそれぞれのコーディネートができること、ファッションは楽しむもので、みんなのものであること。そういった姿勢を全体で表現していました。
Q.ロングシルエットは、キーポイントの一つのように感じました。
そうですね、それは、今季の重要なキーワードでした。ロングシルエットにすることで、ランウェイで豊かな動きが生まれるので。また、秋冬シーズンであるのに、シースルー素材を採用したのは、女性らしい要素を加えたかったからです。ファブリックそのものに、フェミニンな要素が詰まっていて、軽さも生み出してくれますからね。
Q.ファストファッションが溢れるなか、H&Mのアイデンティティは、どこにあると思いますか。
繰り返しになってしまいますが、やはり多様性です。これは、ブランドコンセプトにも通じるところなのですが…。それと、世界各国のファンが大好きなので、これからも皆に愛され続けるブランドでありたいと思っています。もちろん、日本のファンのみなさんにも、H&Mのことも好きでいてくれること、そしてファッションにずっと興味を持ち続けてくれることを願っています。
そうだ、H&Mは「デザイン アワード」もやっているんですよ。若手デザイナーのクリエーションを見るのがいつも楽しみなので、日本のみなさん、デザイナーさんの参加も待っています!