ヴァレンティノ(VALENTINO)の2017年春夏メンズコレクションが、フランス・パリで発表された。ニューヨーク、ザ・メット・ブロイヤーで開催された500年の芸術史における詩的、または偶然による未完成をテーマにしたエキシビション「Unfinished: Thoughts Left Visible」をインスピレーション源に、未完成としての「完成」を描き出す。
マリア・グラツィア・ キウリとピエール・パオロ・ピッチョーリは自らに問う。“この心は何を考え、この手は何を作り出すことができるのだろうか”と。ウェアには、その答えがプロセスとともに乗せられる。
表現方法は、繊細かつ洞察力に富んだもの。ファブリックに始まり、ドレス、アクセサリーによってその未完成は「完成」する。その「完成」は型にはまることではなく、独特なディテールをもってして個性として現れるのだ。
例えば、ユニフォームのように同じ素材で作られているシャツやブルゾン、ダストコート、ハイウエストパンツは、実用面も考慮された優美なシルエット。取り忘れた仕付糸のようなゆったりとしたステッチや動物をモチーフにしたインターシャ、デニムをパッチワークのように組み合わせているアイテムなど、美しい質感を生み出している。
黒や青、フラットグレー、ダイドブルーといった色で構成される凝縮されたカラーパレット。アトリエのクラフツマンシップを大いに発揮し、思いを作品に変換した今シーズンのコレクション。“作者”としてのマリア・グラツィア・ キウリとピエール・パオロ・ピッチョーリが目的を達成し、美しいワードローブが誕生した。