テンボ(tenbo)の2017年春夏コレクションが、2016年10月19日(水)、東京・表参道ヒルズのスペース オーにて発表された。毎シーズン洋服を通じメッセージを投げかけるテンボがテーマに選んだのは、「ハンセン病」だ。
完全な治療法が確立される前の時代に発生した、感染者や感染の疑いがある者への差別や隔離運動である「無癩県運動」。その被害者は感染者自身にとどまらず、その子供達にも広がっていたという。ワードローブを彩るテキスタイルには、その子供達や被害者の姿や心の叫びをイラストで表現。ポップな印象に込められたメッセージに観衆の心が奪われる。
療養所から故郷を想う人々は、その街に帰ることができないことが多い。その“望郷”の思いは、姿を変え、あらゆる人を美しく彩る洋服になる。展示をデザインに落とし込んだシャツワンピースを身に纏うのは、着る人の個性を引き立てるような役割を果たしていた。
ショーの終盤には、四季をイメージした4つのドレスが。ライウェイが季節に埋め尽くされると、ハンセン病回復者の槙ミヨさんが白のドレスで登場した。井上あずみによる『故郷』が響き渡る中、これまでの苦労や苦悩を、ファッションという媒介を通じて投げかけ、重くなりがちなテーマを前向きなイメージで捉えさせてくれるコレクションとなった。