「並河靖之七宝展」を、東京都庭園美術館にて開催。会期は、2017年1月14日(土)から4月9日(日)まで。
明治期に盛んに作られた工芸品「七宝」。金属の器や壺の下地の上に釉薬をのせ焼くことで、美しい色彩を施す金属工芸の一つだ。明治期の七宝家・並河靖之は、この七宝が持つ鮮やかな色彩の効果や、優美で繊細な線を見事に操り、その美しさの頂点を極めた。本展は、彼の生涯と、最初期から晩年に至るまでの七宝作品140点を一堂に紹介する初めての大規模個展だ。
並河の作品でまず目を引くのは、その鮮やかな色彩だろう。釉薬を使って彩色する七宝では、まるで金属の中に色とりどりのガラスが埋め込まれたように、色彩そのものが輝いている。さらに、その美しい色を際立たせるのが、並河作品の大きな特徴である、地に使われた透き通るような黒だ。漆黒の背景に浮かフッと浮かび上がるように舞う黄金の蝶や、藤色の花々はため息が出るほど美しい。
左)並河靖之 (部分) 菊御紋章藤文大花瓶 並河靖之七宝記念館
右)並河靖之 (部分) 菊紋付蝶松唐草模様花瓶 一対 泉涌寺
さらに、七宝のわかり易く、日本らしさを強調したデザインには、誰もが美しいと感じずにはいられない。もともと明治期に主にヨーロッパへの輸出工芸品として隆盛した七宝は、西洋人にも分かりやすいモチーフで技巧を凝らした装飾的なものが多い。そんな時代背景と、並河自身が生まれ持った圧倒的なセンスが相まって、出展される作品は、特別な知識がなくてもパッと観ただけで私たちを虜にするほどの華やかさを持つ。
さらに、会場になった東京都庭園美術館にも注目したい。昭和初期に朝香宮邸として建てられたこの美術館。アール・デコ様式を用いた展示室は、曲線を使った有機的なタイルや壁、草花のモチーフを思わせるガラス装飾やランプで彩られ、華やかな七宝にふさわしい。優雅な空間で、贅沢なひと時を味わえる展覧会だ。
【詳細】
並河靖之七宝展
会期:2017年1月14日(土)〜4月9日(日)
会場:東京都庭園美術館 本館・新館ギャラリー1
住所:東京都港区白金台5-21-9
開館時間:10:00〜18:00 (入館は17:30まで)
※3月24日(金)、3月25日(土)、3月26日(日)、4月1日(土)、4月2日(日)、4月7日(金)、4月8日(土)、4月9日(日)は、20:00まで開館。(入館は19:30まで)
入館料:一般 1,100(880)円 / 大学生(専修・各種専門学校含む) 880(700)円 / 中学生・高校生および65歳以上 550(440)円
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金。
※小学生以下および都内在住在学の中学生は無料。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳の提示で、介護者一名を含め無料。
※教育活動として教師が引率する都内の小中・高校生および教師は無料(事前申請が必要)。
※第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料。
※前売り券e+(イープラス)にてオンライン販売。
◼︎巡回予定
・兵庫展
伊丹市立美術館 2017年9月9日(土)〜10月22日(日)
・三重展
パラミタミュージアム 2017年10月28日(土)〜12月25日(月)