Y-3(ワイスリー)がニューヨーク・ファッションウィークにて2012年春夏コレクションを発表した。テーマは来年開催される4年に1度のスポーツ祭典、その開催国である英国のスタイル。クラシカルなチェック柄にモッズ時代のグラフィックプリント、ハードでタフなワークウェアにユニオンジャックを組み合わせるなど、ロンドンのストリートファッションとスポーツファッションをダイナミックにミックスし、見る者を新たなスポーツファッションウェアの世界へ導いた。
デザインにはチェック×チェックの世界観でY-3のスピリッツを存分に表現した。全体にかすれたプリントが施されたTシャツやメッシュのタンクトップ、薄手レギンスやアウターまでがチェックに彩られ、存在感ある奇抜なアイテムが誕生。その奇抜さをブラックやオリーブグリーンの実用的なワークウェアや、山本耀司ならではの量感あるブラックのコートやスカートや、ショーツといった落ち着いたカラーのアイテムで抑制し、バランスのとれたスタイルに仕上げた。
ロンドンスタイルの特徴は、ストリート的であると同時にスイートであること。Y-3はこの2つのエッセンスの間を繊細に揺れ動き表現した。ウィメンズでは、背中にチュール地を使用したレザーベストや、シャープなテーラリングながら縫い目にそって繊細に揺れるフリルのついたブレザーなど、ハードとソフトが交互に顔を覗かせる。ボリュームが決め手のオーバーサイズのシャツドレスや膨らんだスウィングスカートからは、詩的なエレガンスが伺える。
メンズでは、シャツやコートでクラシックなテーラリングが復活し、ポプリンとコットンピケの素材を用いたボタンダウンのポロシャツや、キャンバス製でアディダスのトラックスーツの袖がついたオーバーサイズのトレンチコートなど、数種類の素材を組み合わせたオリジナリティ溢れるアイテムが登場。また軽量で通気性の高い「ペーパー」ナイロンや3層に貼り合わされた防水のジャージのような画期的な新素材を取り入れるなど、Y-3の更なる進化を印象付けた。
豊富なカラーとスタイルが登場したフットウェアのデザインの多くにシェルトゥ(丸みを帯びたラバー製のつま先のデザイン)が用いられ、アディダスの伝統的なデザインエレメントを復活させることに成功。ユニオンジャックを連想させるフットウェアはひときわ目を引くデザインに仕上げられた。
今回のコレクションのクリエーションについて山本耀司は「私にとって、ロンドンスタイルはファンキーなエレガンスだ。単なる繁華街でもパンクでもない。同時に洗練されているのだ。今回はそれを捉えて形にしようと試みた」と語った。