ユリウス(JULIUS)が2018年春夏コレクションを、パリファッションウィーク初日の2017年6月22日(木)にフランス・パリで発表した。
今シーズンに反映したのはアメリカのハードコアパンクという音楽文化。1970年代に流行した荒々しいサウンドをより過激に表現する音楽は、意外性のあるリズムパターンに強いメッセージを込めた感情的な歌詞がのせられる。それを今季は現代風にして投げかけた。
この潮流のなかでも、デザイナーの堀川達郎がピックアップしたのが、アメリカのベーシストであるMike Watt。ハードコア・パンクの一人者である。そんな彼がよく身に着けていたチェックシャツを用いて、ただ着るのではなく、アウターにしたり腰に垂らしたりしてレイヤードのスタイリングを楽しんだ。
さらには、オーソドックスなパンクのイメージを分かりやすく取り入れているのも今シーズンの特徴である。例えば、レースアップ、ボンテージベルト、メッシュ素材などがそれにあたる。
ただ、音楽をそのまま表現するだけでなく、象徴的にミリタリーの要素もあわせており、おそらくメッセージをその上にのせている。軍用品を断片的にとり入れ、防弾チョッキのようなベスト、袖だけがMA-1仕様のトップスなどでそれを表現している。ボトムスにはカーゴパンツ、足元は軍用ブーツのようなスニーカー。また、カラーはもちろんカーキを採用し、差し色としてミリタリー色を強くするオレンジを挿入した。
ハードコアの音楽では、ひとつひとつの音を簡素的に、そして性急に取り入れる。流れるメロディーを生むのは、イノセントなノイズ。それこそがこの音楽の美しさだ。パンクなデザインもミリタリーなデザインも取り入れた、一見激しく見える今シーズンのユリウスにも、実はその根底が根付いている。