トム ブラウン(THOM BROWNE)の2018年春夏コレクションが、パリファッションウィーク最終日の2017年6月25日(日)に発表された。
会場の中央に置かれた3足の金色の靴。子供用の小さな靴の両側には、男性用のドレスシューズと女性用のヒールシューズが並ぶ。来場者はみな、ショーが始まるまでに、その靴を写真で収めたりしていた。きっとその時はまだ、3足の靴に大きな意味を感じていなかったはずだ。
今回のショーの中で、スーツというメンズウェアをストレートに表現したものはなかった。きわめて男性的であるこのスタイルは女性らしくあり続けた。ボトムスを排除し、ロングシャツをワンピースのようにきたり、ボックス型のジャケットには、さながらウィメンズ用のタイトスカートをあわせたり。さらにはメンズシャツにはプリーツスカートをドッキングし、セパレートワンピースとして着用するという捻りも見られる。足元は終始変わらずヒールシューズだ。
シルエットは肩の張った男性的なものもあれば、滑らかなウエストの女性的なものもある。そして、こうしたジャケットはディテールを応用して、女性らしく見せるというのも今シーズンの特徴。サイドベンツは、スリットとして再解釈。ジャケットとシャツが重なるスタイリングも、女性らしい動きのある服へ導く手段なのだろう。
ブランドらしいテーラリングはもとより、トム・ブラウンであることも同じくディテールから主張されている。ベンツからはアイコニックな3色を覗かせ、トム・ブラウンの愛犬モチーフも散りばめられた。
ランウェイでは、性という概念を取っ払って中立であり続けた。特に最後のルックは、それを思い切り主張したもの。フロントは男性に、バックは女性に贈るウェディングの混合だった。
こう考えると、きっと会場に置かれた靴も性を表す意図があったのかもしれない。しかしながら、男性と女性が出会って生まれる子供という存在の靴を、羨ましそうに見てあるくモデルたちの姿に、どのような意味があったのか。様々な憶測を生む今回のショーは、あくまでラブストーリーの2人が出会うハッピーエンドだった。