チルドレン・オブ・ザ・ディスコーダンス(Children of the discordance)の2025-26年秋冬コレクションが、2024年12月20日(金)に神奈川・とどろきアリーナにて発表された。
今季のチルドレン・オブ・ザ・ディスコーダンスは、「sand dust flavors」がテーマ。表面を加工で削った生地や、霞がかったようなグラフィック、アースカラーを中心とした色使いによって、“砂埃”のイメージを洋服へと落とし込んだ。
会場にはスモークが焚かれており、一歩足を踏み入れると、巻き上がる砂けむりの中に佇んでいるよう。ぼんやりとした視界の中現れたのは、ウエスタンの雰囲気を纏ったファーストルックだ。無骨なワークジャケットに赤土色のパンツ、つば広のハットをかぶった姿は、荒野に佇むカウボーイを彷彿とさせる。首にはぺイズリー柄のネクタイを締め、都会的なアクセントもプラスした。
コレクションの中で特に目を惹いたのは、あらゆる種類のウェアに起用されたパッチワークの手法だ。ブランド名にも用いられている“Discordance(不調和)”を表現するように、アイコニックなバンダナ柄、ストライプ、迷彩、あるいはチェック柄と、様々な模様をミックスし、それらを1つのアイテムの中に同居させた。カラフルな色柄を繋ぎ合わせたジャケットに、濃淡の異なるデニムを切り貼りしたパンツを組み合わせたルックは、その最たる例であろう。
サッカーのジャージを思わせるスポーティーなウェアは、サッカー経験者のデザイナー・志鎌英明が「馴染み深く懐かしい」と語るブラジル発のフットボールブランド・ペナルティ(Penalty)のコラボレーションによるもの。縦割りで異なるデザインに仕上げたアシンメトリーのセットアップやベンチコート風のダウン、バックパックなど、約25型がコレクションを彩った。
ストリートの色が強いチルドレン・オブ・ザ・ディスコーダンスには珍しく、クラシックなテーラードが披露されたのも今季ならでは。とはいえクリーンにまとめず、ヴィンテージライクな佇まいに仕上げているのが“らしい”ポイントだ。オーバーサイズのジャケットを主役に、鮮やかな彩りのスカーフ、プリーツスカートをチョイスし、テーラードを遊びのあるスタイルへと再解釈している。
次のシーズンより、イタリアでコレクション発表を行うと語った志鎌。そんな彼の“これまで”と“これから”が、コレクションの最終ルックに集約されているように思われた。横浜生まれである志鎌のルーツを象徴するスカジャンの下には、古着風のTシャツを忍ばせ、これまで大切にしてきた日本のヴィンテージスタイルを表現。一方ボトムスにはクラシカルなチェックスカート、足元には艶めくレースアップシューズを合わせ、新たな挑戦の地に選んだヨーロッパの、重厚な紳士の雰囲気を漂わせた。