ニューヨークにて発表されたY-3(ワイスリー)の2012-2013年秋冬コレクション。今回のコレクションは中央アジアの大草原を移動する遊牧民の文化にインスパイアされたもので、伝統とモダニティをブレンドしたスタイルを創出している。
遊牧民が古くから身に着けてきた伝統的な民族衣装の要素を現代のスポーツウェアと組み合わせられている。その結果アディダスの未来的なスポーツスタイルと、ウールのロングコートやシアリングのジャケットなど、ゴージャスなアイテムが見事に融合し、刺激的なウィンターウェアが完成した。
コレクションの発想の源となったのは、身体の保護・快適さ・美しさを求めるという人間の根本にある欲求。そのため、厚手のフリースニットセーターや、ゆったりとしたシルエットのコートやポンチョ、クラレットやジェイド(翡翠)といった色や風合いにこだわっている。また、マジックテープで自由に位置を変えられるコートのポケットや、ラペルにジッパーが付属されたジャケットなど、今季もモジュール性を重視したデザインが多い。
テクノロジーの成果(NASAが採用した画期的な保温素材W-181など)と民族衣装のディテールを巧みにミックスしているのも今季の特徴。ウィメンズではキルティング地のボリューミーなミニスカートや、ヒョウ柄のカーディガン風ローブなどに取り入れられている。メンズはクリエイティブディレクターの山本耀司のトレードマークとも言える黒のウールコートのバリエーションが発表され、ヒョウ柄のフェイクハラコでアクセントを付けたものや、ビッグシルエットのフリースのジャケットやショーツなど、アクセントの効いたゴージャスなアイテムが揃っている。
「遊牧民の服の着方には、詩的さと優雅さがあります。その感覚を捉えて現代的に表現したいと思いました」と語る山本耀司。その言葉どおりに上品さを残しつつ、穏やかな遊牧民の生活を連想させるような、懐かしさと温かさが漂うコレクションに仕上がった。