グッチ(GUCCI)2018年春夏ウィメンズコレクションは、メンズコレクションと合同でミラノ・ファッション・ウィーク初日2017年9月20日(水)に発表された。今季のキーワードは「The act of creation as an act of resistance」であると、コレクションノートには綴られている。
resistanceが意味するものは定かではないが、グッチを手掛けるアレッサンドロ・ミケーレの抵抗意識を感じさせたのは、グッチアイコンの遊び方だ。これまでもGGモチーフ、グリーン・レッド・グリーンのウェブなど、メゾンの象徴に重きを置き、クリエーションに多用してきたミケーレ。今季も歴史を大切にし、これらのアイコニックなモチーフをデザインの対象としながらも、アレンジ手法を少しマイナーチェンジしているように映った。
一つの例として、ジャケット&パンツのルックが挙げられる。レイヤードは複雑で、上半身はジャケットの下にベスト、インナーのようなものが合わせられており、下半身はパンツの上にレーススカート、さらにミニスカートを重ねているように見える。
一体当たりの点数の多いルックであるが、バッグ、アクセサリーを含めて半数以上のアイテムに「GGモチーフ」を起用。しかも部分的ではなく全面にだ。このモチーフ特有のクラシックな姿を保っているのものもあるが、中にはネックレスのように、色とりどりのビジューで表現され、本来の趣からかけ離れたものもある。また間に差し込まれた、ランジェリー風アイテムも新鮮である。比較的禁欲的な印象のあるミケーレの作品では、センシュアルな魅力を大胆に打ち出すのは新発想のように感じた。
花鳥風月をポイントにノスタルジックな世界を築き上げてきた、グッチワールドにも変化が起きた。ミケーレが愛するボタニカルなモチーフは、力強いレッド、ブルーといった色彩で描かれ、幻想的というよりは刺激的。中には、リアルに描かれたハイビスカスが並ぶ、ハワイアンな絵柄も存在する。
進化を遂げるミケーレの世界を加速させるのは、ディスコガールを想起させる80’sの要素と民族衣装の起用。ピチピチのミニスカートに、ボリュームショルダー。さらにネオンカラーも加われば、過去の世界へとタイムスリップした気分に。
さらに、ディテールでチャイナボタンをあしらったジャケットやドレスの展開は、アジアへの旅に観客を誘ってくれる。
もちろん、スポーツテイストやメンズライクなディテール、エアリーなドレススタイルなど、異なる要素をコラージュ的感覚で組み合わせた、折衷主義的グッチワールドにいるのは間違いないのだが…、どこか異次元の旅のようで、ミケーレの新しいスタートのようにも感じられた。