グッチ(GUCCI)の2025年春夏ウィメンズコレクションが、2024年9月20日(金)、イタリア・ミラノにて発表された。
今季のグッチのテーマは、創設当時からブランドのアイデンティティとして存在し続けている「casual grandeur(さりげない壮大さ)」。テーラリングやランジェリー、レザー、1960年代のシルエットといったグッチの伝統に向き合いながら、カジュアルとドレスアップが交差するコレクションを提案していく。
ショーのオープニングを飾ったのは、最もエッセンシャルでありながら、平凡さとは一線を画すテーラリング。メンズのワークウェアを彷彿とさせるジャケットは、華奢なシルエットで無骨さを取り払い、研ぎ澄まされた印象に。裾がスニーカーにかぶさるようにカットされたパンツとのスタイリッシュな組み合わせで、美しさの本質に迫るような洗練されたルックに仕上げている。
ミニマルな装いが数多く提案される一方で、GGパターンを配した“超ロング丈”のコートが登場したのも印象的だ。裾は引きずるほど長く、肩はゆるりと落とされ、重力に任せてしなやかに流れるようなラインを演出。中にはタンクトップやデニムパンツを合わせ、コートのドレッシーな雰囲気をほどよくカジュアルダウンさせている。
ジャケットやショートパンツ、Aラインスカートに見られる構築的なシルエットは、1960年代へのオマージュ。アイコニックなホースビットの総柄モチーフや、つば広ハットにグローブ、オーバル型のサングラスといったクラシカルな小物使いもまた、60年代のレトロなムードを加速させる。
素肌を透かしてみせる官能性は今季も健在。シアーな総レースのスリップドレスや、コルセット風のミニワンピースなど、随所にセンシュアルなランジェリーディテールが散見された。繊細なレースとコントラストを楽しむかのように、ボリューミーなアクセサリーやハードなレザー小物でエッジを効かせているのもグッチらしい。
カラーパレットは、グレーやブラック、ホワイトといったシンプルなカラーに、夏の夕暮れを思わせる鮮烈なオレンジを差し込んで。グッチの創設者グッチオ・グッチがポーターとして働いていた、ロンドンのザ・サヴォイ ホテルのエレベーターの壁の色から着想を得た深みのあるレッド“グッチ ロッソ アンコーラ”も、キーカラーとして象徴的に用いられていた。