コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)がフランス・パリで発表した2018年春夏コレクション。
今シーズン、デザイナーの川久保玲が挑むのは、様々なアーティストの作品と向き合うこと。国籍も時代も異なる、別々の背景から生まれた作品群を組み合わせて立体的に見せることをコンセプトにクリエーションを進めたそうだ。
ラインナップは、画家・アルチンボルド、漫画家・イラストレーターの高橋真琴、水墨画家・雪村といったアーティストたちの作品。ちょうどコム デ ギャルソンがパリでショーを行った2017年秋には、高橋真琴が書籍『ロマンティック乙女スタイル』を発売し、「アルチンボルド展」が東京・上野の国立西洋美術館で開催されており、日本人にはとてもタイムリーな話題がデザインとして落とし込まれていた。
コレクションピースはとにかく巨大。パットなどを巧みに使いボリューム満点のシルエットを作り出している。ホワイトのコートは中に中綿をたっぷりと詰め込み、身体からかけ離れた位置で羽のように広がっている。テレビゲームのワンシーンを切り取ったようなテキスタイルで仕上げたドレスは、ショルダー周りが立体的になっていて、天使の羽のようである。
果物や野菜、動植物などのモチーフを寄せ集めて作品を作るアルチンボルドのドレスは、シアーな素材でフレアなラインが描かれエレガント。バスト部分は小さな多角形のパーツが切り絵のようにパッチワークされ、コラージュ作品のようになっている。
ドレスやコートのインパクトが大きいが、アクセサリーラインもウィットに富んだ仕上がりだ。幼き頃に手にしてであろうソフビ人形やキティちゃん、カラフルなクマ、スマイルマークのバッチ、マーブルカラーのチョコレートなどがヘアアクセサリーとして登場。装いに負けず劣らずのボリューム感である、オールバックヘアを彩るように散りばめられている。