2012年3月1日、A.F.ヴァンデヴォースト(A.F.VANDEVORST)が2012-13年秋冬コレクションをパリファッションウィークで発表した。スポットライトが当てられた黒いカーテンの向こうから登場した、モデル達は黒いハットを目深にかぶり、ファーのマフラーで顔を覆われて、その表情を伺い知ることはできない。
今季はマニッシュなコートがメイン。ウールのロングトレンチは、黒の太いレザーベルトでウエストマーク。フロントで前立てがドラマティックにカーブを描くデザインや、ウエストをしぼって胸元を大きく開けたミリタリージャケットなど、シルエットに女性ならではのセクシャリティを潜ませた。肌の露出を抑えながらも、レースやシースルーの素材を組合わせてセクシーなコントラストを見せる。高いウェッジヒールは緊張感と気品を象徴しているようだ。
対照的に、ドレスは明るいブラウンやベージュのソフトなカラーで、水彩画のような繊細なプリントが乗せられた。ガウンみたいな前合わせと、ギャザーでふっくらさせたそでの形が大人の余裕を併せ持ったエレガンスを表現している。ローゲージのニットガウンをさらっとはおって着こなすのがポイント。
後半に登場した金や銀、カラーストーンが刺繍されたアイテムは、王侯貴族のような気高さと華やかさでフィナーレを飾った。肌や表情を隠しながら服だけで表現されたのは着る人の圧倒的な存在感。ミステリアスな興奮に包まれたコレクションだ。