パリファッションウィークで発表された、コスチューム ナショナル(CoSTUME NATIONAL)の2012-13年秋冬コレクション。1980年代の一連の音楽ムーブメント「the New Wave-No Wave-Dark Wave movemnt」にインスピレーションを受けたデザイナーのエンニョ・カパサ。都会的でパンキッシュなスピリットを持つ女性像を、中性的なシルエットで表現している。
カラーパレットはブラックを基調に、ネイビー、コバルトブルー、深みのあるグリーン、アイスグレーで展開。スタイルの核となるのは、再構成されたテーラードのジャケットたち。ウールクレープやレザー、エナメル、ファーなどの上質の異素材をレイヤードで配置するなど、その精緻な計算には隙がない。ジャケットは、アシンメトリーなデザインやラペルの絶妙なボリューム感などからテーラリング技術の高さを感じさせるアイテムが数多く登場した。
素肌が布地の下から見えるレースのトップスとレザーボトムのコーディネートが目を引く。堂々と恐れることなしに未来への扉を切り開いていく女性の、強さとセクシーさが投影されているかのよう。また、小物使いにも注目だ。つば広のマスキュリン・ハット、オーバーサイズでミラータイプのサングラスなど、あえて男性性を強く感じさせるアイテムを投入することで、女性の華奢な体のラインが強調されアンビバレントな印象を与えた。
お馴染みのアイテムが持つ常識に問いを投げかけ、新しい生命を吹き込んだコレクションだ。