設立10周年を迎えたロンドンのファッションシーンをリードするコンセプトストア「b STORE(ビーストア)」。世界中から刺激的なファッションをセレクトして提案し続け、高い評価を確立してきた。2006年よりスタートした同名のオリジナルコレクション「b STORE」は、ブリティッシュスタイルにこだわったモダンでウエアラブルなスタイルが人気で、世界50店舗で展開されている。
2012年3月16日(金)からはTOMORROWLAND 渋谷店にて日本初となるポップアップストアオープンさせ、10周年を記念した、エクスクルーシブなアクセサリー・プロジェクト“10 for 10 ”の商品も販売された。今回、b STOREのコレクション・ラインと共にデザイナーのひとりであるマシュー・マーフィーが初来日。スペシャルインタビューで、b STOREの魅力を語ってくれた。
そうなんです。だからとても楽しみにしていました。いろんな人から東京はおもしろいって話を聞いていましたから。しかも、今回は仕事で来れたからすごく嬉しいです。
TOMORROWLANDでは3~4シーズン扱ってもらっていたのですが、他の国でやったb STOREのポップアップショップを見てくれて、それに僕らが発行しているb Magazineも気に入ってくれて、それで今回の企画を持ってきてくれました。今までイギリスやフランス、ロシア、スカンジナビアではポップアップショップをオープンしたことがあるのですが、アジアでは今回が初めてです。TOMORROWLANDのエクスクルーシブで限定コラボTシャツも発売するのですが、b Magazineからピックアップしたイメージをプリントした5種類で展開します。同時に、ロンドンのb STOREでもTシャツのエキシビジョンをする予定で、ウィンドウにもマガジンを展示しますよ。
すごく光栄です。今まではセルフリッジとかリバティのような大きなデパートの中で、老舗の店舗のイメージに新鮮さを与えるために僕らのポップアップショップが登場していたのですが、今回はセレクトショップ内のポップアップとして、よりb STOREというブランドの存在を理解してもらえるような企画ができると思います。
昨日TOMORROWLAND 渋谷店に行ってみましたが、美しいショップでした。店頭でb STOREのアイテムが並んでいるのを見て、なんだか自分のブランドじゃないような感じがしてとても新鮮でした。明日の夜にポップアップショップをセッティングする予定ですが、ウインドウはもうb STOREがジャックしてるからチェックしてみてください。
コンセプトは”クリエイティビティ”、それもコンセプチュアルなものではなくて親しみやすいもの。モダンでコンテンポラリー、ウェアラブルでユニークなスピリットを持っています。b STOREのショップについては日本でも知られているみたいですが、ブランドとしてのb STOREはまだ知名度がないのでもっと知ってほしいです。
2012年秋冬シーズンは、新しいウィメンズウェアのデザイナー、クロエが加わってから初のコレクションになりました。クロエはヴィヴィアン・ウエストウッドとかフィリップ リムで経験を積んだのですが、彼女が加わってからメンズのデザインにもいい影響が出ています。11月にサヴィル・ロウ からキングリー・ストリートにショップを引っ越ししましたし、新しいb STOREの時代が始まっています。新しいショップはスペースも広くなって、カラーも変わって、よりフレッシュで明るい雰囲気になりました。
僕らが一番大切にしているのは、サービスとスタッフのパーソナリティー、そして快適さです。それをベースに、いつも新しいことに挑戦してきました。例えばエキシビジョンだったり、若いデザイナーと組んだり、他のショップにはできないことをやってきたんです。ロンドンにはたくさんのショップがあるけど、僕らが選ばれている理由はそこにあると思います。
クリスマスには、ショップでミンスパイやホットワインを配ったり、今年のエリザベス女王の即位60周年とオリンピックイヤーを祝ってストリートパーティーを企画したり、b STOREはお客様との関係を大切にしています。お客様がハッピーであることが一番重要で、デザイナーにとってもb STOREで買った服とかb STOREブランドの服を着てくれているのを見るのが一番の喜びなのです。
フォーマルなスタイルをウォッシュドリネンでドレスダウンしたジャケットは、シェイプもきれいです。今季はグランジっぽい雰囲気も取り入れたので、リネン混のニットやシャツもロングシルエットにデザインしました。グリーンのリネンセットアップは、夏のウェディングにぴったりですよ。フォーマルすぎなくていい感じ。オリジナルプリントはアフリカっぽく、トライバルな感じのプリントを、カーク(カーク・ビーティ、b STOREディレクター)と一緒に作りました。
2012-13年秋冬シーズンは、ホームレスの人が道でたまたま見つけた服を重ねて着ているよう感じの、オーバーサイズのシルエットとレイヤードががポイントです。音楽も重要なファクターで、今季は70年代終わり~80年代初めにかけてのイギリスのポストパンクの時代を意識しました。当時、ジョイ・ディヴィジョンとかヒューマン・リーグ、デペッシュ・モードとかが父親から借りてきたような服を着て、それがスタイルになっていったような、そんなイメージです。彼らのファッションはシンプルだけど新しくて、スタイルがあります。
靴はUNDERGROUND(アンダーグラウンド)とのコラボで、クリーパーソールが50年代のロカビリーを象徴しています。生地はb STOREのオリジナルで、グレンチェックとアニマルのコラボがモダンブリティッシュな雰囲気です。ダッフルコートはイギリスのダッフルの老舗GLOVERAL(グローバーオール)とのコラボレーション。コラボのテーマは常に”ブリティッシュ”です。b STOREはコンテンポラリーなブランドですから、歴史と伝統のあるブランドとコラボすることでこそコラボの意味があるのです。
さらにとっておきは、リバティとのコラボのアイテムです。このプリントはリバティのアーカイブにあったペイズリー柄にデジタル処理を施したもので、アニマルプリントと組み合わせてリバティっぽくない感じにできたのが気に入っています。グローバーオールの黒のジャケットもシンプルだけどとてもきれいなシェイプで、ちょっとオーバーサイズなんです。細部の縫製まで美しく仕上がっています。
メインラインではジャージー素材のフォーマルジャケットが一押しです。フォーマルなブレザーをカジュアルな素材でドレスダウンしています。シンプルなデザインにアニマルプリントをアクセントとして取り入れたパンツもかわいいですよ。上からジャケットをはおっている時はシンプルなネイビーのカットソーにしか見えないですが、ジャケットを脱ぐと袖や背中のアニマルプリントが登場するユニークなデザインのカットソーもおすすめです。
b STOREはイギリスのテーラーのメッカ、サヴィル・ロウの近くにありますが、フォーマルすぎないデザインで、生地はほぼ100%ナチュラルな素材を使って”easy to wear(着やすい)”のがポイントです。自分で洗うこともできますし、このブレザーも洗うことで風合いが変わるのを楽しめますよ。
ブランドとしてもポップアップショップとかコラボレーションとかのプロジェクトを積極的にやっていくつもりです。今まで通りアンダーグラウンドやリバティとのコラボも続けていきたいし、イーストパックとも今度コラボする予定です。アジアでのビジネスにも興味を持っていて、香港にショップインショップを開く計画もあります。
変化し続ける日本のファッションシーンの中でも、これからいろんなことを企画していきたいです。そのために日本のお客様が求めていることを知りたいので、生の意見をどんどん聞きたいのでよろしくお願いします。
ブリティッシュのエッセンスが小気味よく効いたグッドクオリティなb STOREのアイテムは、さりげないおしゃれを楽しむ日本人のスタイルにもぴったり。この春のスタイルにこだわりのコレクションをぜひ取り入れてみて。
Interview and Text by Hamae Yamamoto