2012年3月16日、ファクトタム(FACTOTUM)が2012-13年秋冬コレクションを発表した。タイトルは「SKY AT NIGHT FROM THE CABIN」。今季、インスピレーションを求めてデザイナーの有働が向かったのは、アラスカ・ホワイトホース。ここは19世紀末、ゴールドラッシュの時代に栄えた街だ。当時の様子を著したジャック・ロンドン(Jack London)の小説「炎を熾す」の世界からイメージされたコレクションだ。
ランウェイには雪が降り積もり、満月に照らされたコテージの絵をバックに、ショーは静かにスタートした。ファーストルック、アラスカ旅行で撮影した星の軌跡をインクジェットでプリントした幻想的なスーツ。
ゴールドラッシュの時代のクラシックなワークスタイルがベースとなったHoboスタイルを、現代風にアレンジしたアイテムで構成された。同素材のセットアップなど、スーツスタイルが多い。カラーは木の温もりを感じさせるキャメルやブラウン、ベージュに、美しいアラスカの空をイメージしたネイビーをメインに。アクセントとしてジャケットのディテールや靴の踵にシルバーが輝いている。
スタイリングは、極寒の地のスタイルをイメージした、着心地のよいアイテムのレイヤードがポイント。袖や裾をロールアップで短めにすることで軽さを出し、インナーのハイネックのカットソーや靴下を見せることでレイヤリングを強調している。
今も極寒の地で生きる人々は、キャビンで最低限のモノと共に過ごす幸せを知っている。そんな人生の静かで温もりのある感じが伝わってくるコレクション。ブランキーの「Snow Badge」が流れる中、心地よさを残してフィナーレとなった。