ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)のニットデザイナーであるラグネ・キカス。エストニア生まれのラグネ・キカスが自身のブランド、ラグネ キカス フォー ヨウジヤマモト(RAGNE KIKAS for YOHJI YAMAMOTO)を立ち上げてから、2018年春夏シーズンで4シーズン目となる。
デザイナーの創造性を奔放に表現した、ラグネ キカス フォー ヨウジヤマモト。ヨウジヤマモトの表現と共通する、シルエットの美しさや静かで深みのある世界観を感じさせながらも、ラグネ・キカスのクリエーションは、彼女ならではの遊び心で満ちている。ラグネ・キカスが最も得意とするニットは勿論のこと、カットソーやドレスなど、コレクションの様々なピースは常にエネルギッシュな躍動感にあふれ、袖を通す人の日常をツイストして新鮮な風景を見せてくれるのだ。
ラグネ キカス フォー ヨウジヤマモトのクリエーションを、特徴となるキーワードごとに紐解いていく。既定の概念に捉われず、より自由に生み出された洋服の数々からは、表現の幅広さに対する驚きと真新しさを感じることができる。
鮮やかなレッドのニットドレスには、一面を覆うようにしてループの立体的な装飾が取り付けられ、回路をつなぐように、一定の規則性をもってループの中を紐が通っていく。まるでパズルのようなディテールが目を惹く1着だ。
ニット地をつまみ、服の上で編み込んでいったような、ユニークで技巧的な造形のニットは存在感抜群だ。躍動感のあるこぶが、服にうねりを描いていく。後ろの丈は長くなるよう設定されており、ゆったりとしたシルエットが浮遊感を表している。
一見ランダムに布地をつまんで折ったように見える、ビッグシルエットのカットソーは、実は「R」「K」、ミラーに写るバックの「YY」のイニシャルを象った、ユーモアに溢れたデザイン。ドレープの出方を調整して実際に布地をつまんでみたり、カットしたりすることで作り上げられている。
軽やかな印象のカーディガンは、不規則なドレープとレイヤードによってミステリアスな空気感を演出。透け感のある素材は、重なり方によって異なる表情を見せる。
プレーンなホワイトのドレスも、裾が描く曲線によって、芸術的で繊細なイメージを作り出していく。
セーターを思い切りひねったことで、エレガントな曲線が浮かび上がる。腕にフィットするように細長く作られた袖が、ドレープによるボリューム感とバランスをとり、身体に美しく寄り添う構造となっている。