コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME des GARÇONS HOMME PLUS)の2018-19年秋冬コレクションが、2018年1月20日(金)に発表された。
反骨精神という言葉を聞いて、どんな色を連想するだろう。おおよそイメージされるのは黒、もしくは刺激の多い色だったりするのではないだろうか……。しかし、デザイナーの川久保玲が反骨精神を表現するために採用した色は白だ。今季のテーマは、その色を主役とした「ホワイトショック」。うちに秘めた反骨精神を表現したシーズンである。
ファーストルックから続けて登場するジャケットは、パネル状になっていて、そこには夜の街、石畳、レンガの壁、アメコミといった私たちの日常に溢れる“ある風景”が描かれている。パネルは1枚のテキスタイルでできているわけではなく、切りっぱなしのテキスタイルと綿を一緒に縫い合わせていて、歪なボリューム感で身体を覆っている。そして、それにも増して序盤にインパクトをもたらしたのはヘッドピース。モデルたちは皆、頭に何かしらの頭蓋骨を被っていて、それ越しに鋭い視線を送っている。
中盤からは、映し出されていた景色が消える。さっきまでとパネル状の構造は同じだが、まるで工業用資材のような強靭なテキスタイルで構築。さらに、前中心の歪んだジャケットがさらに大胆なシルエットを導きだす。こうしてベースとなるテキスタイルは抽象的なグラフィックへと移り変わり、さらには服から飛び出していたパネルは洋服へ吸収されたかのようになくなる。その代替として図形的なテキスタイルが現れる。と言っても最初のような規則性は皆無で、うねり、歪んでいる図形のみが描かれている。
終盤になり、パネルは跡形もなく消えてしまう。冷ややかな白、暖かい白、透き通る白、くすんだ白……。シルエット自体の歪みは消えていないが、素材もボアやキルティングなど多様性にあふれた。今回ばかりは白への無垢な印象はない。なぜなら白は軟骨精神を表す色なのだから、きっとこれは過激すぎる世界の表現なのだろう。だからこそ、頭にかぶったヘッドピースは最初よりも大きくなり、さらにはより強い恐竜たちへと変貌している。
装飾的な序盤から無垢な印象を受ける滑らかな終盤へ。という発想ではなく、おそらく逆説的に捉えて、優しい白こそアグレッシブ。きっと最後にみた一見柔らかなボアのコートも、キルティングのパンツも、トラッドなトレンチコートもすべて、徐々に過激になっていった“反骨精神”の現れなのではないか。