ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)の2018-19年秋冬コレクションが2018年3月21日(水)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。
シーズンテーマとして見出したのは、大人になっていくことの中にある"空虚感"。デザイナー・吉田圭佑は、クリエーションを積み重ねるうちに、自身やブランドが成熟していくことの必要性に気付いたという。ケイスケヨシダを象徴する制服のピースもランウェイから姿を消し、コレクション全体にはエレガントなムードが漂っていた。
特徴的なモチーフとして取り入れたのは、ぶどう、りんご、バナナといった熟した果実。パッと目を惹く鮮やかさを持ちながら、どこか寂しげな表情のフルーツたちは、コート、スカート、ワンピースなどあらゆるアイテムにプリントされている。
アイコニックなモチーフがある一方で、シルエットは自身の感覚に基づく抽象的な表現を試みた。成熟する上での"空虚感"は、まどろみやもやつきという、はっきりと言葉にできない感情であると考えたからだ。コートのフロント部分に注目すると、布を体に巻き付けたり、交わるように留め合わせたりと、境界をあやふやにしている。
ショルダーはボリューミーで、かっちりとした作りが主流。しかしそこに合わせるのは、裾に向かって消えていくような、儚げなラッフル。大人にならなけらばいけないことはわかっている。それでも、切なさや寂しさを覚えてしまう若者のダウナーな気分を映し出しているかのようだ。
テキスタイルはリッチなシルクと、スポーティな―ナイロンをミックスしたものにこだわった。成熟したエレガンスの中に、フューチャリスティックな新鮮さを取り入れている。空虚の中でもがく若者のまなざしは、きっと未来を見つめている。そんな希望を感じさせてくれるかのように、動くたびに艶やかな煌めきをはなっていた。