ハナエモリ マニュスクリ(Hanae Mori manuscrit)の2018年秋冬コレクションが、「Amazon Fashion Week TOKYO 2018 A/W」5日目の2018年3月23日(金)、東京・ヒカリエで発表された。
今季のテーマは、「追憶」。デザイナー・天津憂が旅の中で、"世界で一番美しい本"を所蔵すると称される、アイルランドのトリニティカレッジ図書館に出会ったことからコレクションのストーリーは始まる。美しい本、建築、そして本を読んでいるひとたちのストーリー……。様々なものからインスピレーションを得た、天津憂は、心に残った美しい思い出をピースの中へ落とし込んだ。
例えば、キャンバスに描かれた花々は、本の間に挟まれた「プレスドフラワー」をイメージした。そして、ビックプリントで大胆にあしらわれたペイズリーは、図書館の建築から着想を得たものだ。これらのモチーフは、柔らかなジャカード生地と相まって、見る者に優美な印象を与える。
コレクションのピースは、ドレスが主流。ベルトやリボンはウエストマークすることで、女性のラインを強調する。ギャザーが寄りドレスがふわりと広がる様は、ブランドのアイコンである蝶が空を舞う姿のようだ。アシンメトリーなドレスの裾やラッフルのように大きくカットされたスリーブも、歩く度に軽やかに舞い、柔らかなシルエットを描いていた。
ショーの中盤になると、カラーは、深みのあるバーガンディレッドに統一される。この色合いは、アンティークのブックカバーからヒントを得たもの。ドレスに施されたフラワープリントは、厳かな雰囲気のあるパレットに、柔らかな光を与える。
同色のピースが連なる中でも、見る者を惹きつけてしまう魅力は、ひとつとして同じものがないカッティングのデザインだろう。アームに大胆な切り込みを入れて、フリルのように仕立てたスリーブ、複数のスリットを入れたことで、歩く度に宙に舞うスカート。そして、シャイニーな素材とマットな素材を同系色で組み合わたことで、互いの存在を引き立たせ、ドレスに多彩な表情を生み出していた。