アンダーカバー(UNDERCOVER)の2019年春夏メンズコレクションが、2018年6月20日(水)にフランス・パリで発表された。
70年代後半のニューヨークのストリートギャングたちを描く、映画『THE WARRIORS』をインスピレーションソースとした今季のテーマは『THE NEW WARRIORS』だ。ショーでは映画さながら6人ほどで構成される8組のグループが、鋭い眼差しで順々に登場していく。毎シーズン欠かせないパンチの効いたグラフィックは、今季、各グループを象徴するモチーフとなった。
まずやってきたのは「THE DEAD HERMITS」。彼らはどこか民族っぽい衣装を着ている。ヒッピーぽいヘッドアクセサリーに、金色のブレスレット、それから大きなバックル付きのベルトまで。ミリタリージャケットやレザージャケットは、袖が切りっぱなしになっていて、一方でパーカーやブルゾンはDリング付きのグログランテープを配したミリタリー感も匂わせる。
2組目は「VLADS」。つまりはドラキュラを意味する軍団なのだが、彼らは不気味な風貌で、黒に白のグラフィックが浮かび上がるワードローブに身を包んでいる。抽象的なプリントかと思いきや、実はそれらはイギリスのロックバンドバウハウス(Bauhaus)を捉えたもの。ジャケットやコートはスリムなシルエット、しかし足元には緩いワイドストレートのスラックスを合わせて均衡を図った。
「BOOTLEG TRUTH」は、ビビットなカラーパレットで、ボーダーやチェック柄を得意とするらしい。最も特徴的だったのはボトムスの合わせ方。ハーフパンツの上に、スコットランドの民族衣装のようなタータンチェックのプリーツスカートを身に着け、足元にはアーガイルソックスをスタイリング。首元のスカーフやレザージャケットのフリンジ装飾からも、フォークロアを感じることができる。
「BLOODY GREEKERS」の彼らは、そこはかとなくギークな風貌。アイドルライブで必須のペンライトのような光る金づちを手にして歩く。目を惹いたのは、日本のオタク文化を想起させるモチーフとして採用された「魔法の天使クリィミーマミ」だ。“ちょいダサ”な彼らは、特に過剰な装飾はせずネルシャツやプルオーバー、デニムパンツなどのシンプルな組み合わせだが、そこには必ずクリィミーマミが描かれている。
モチーフにチーム名にちなんだ“禅”の文字を採用した「ZENMONDOOO」。そう名乗る彼らは、バイクレーサーのようなスタイルで登場した。レザースキニーにもワイドスラックスにも、膝部分にサポーターをセット。プルオーバーももちろん肘のところが頑丈になっていて、頭にはヘルメットやマスクをかぶっている。足元に合わせたナイキ(NIKE)とのコラボレーションスニーカーも印象的だ。
「X SHADOW HOPPERS」は、“山”に精通する者たち。だからと言って、単純にアウトドアスタイルを身に着けるのではなく、その装いにはどこかトラッドなデザインが入り混じる。ジャケットとMA-1のドッキングや、レザーの袖にクラシカルなチェスターコートの身頃を合わせたアウター。そしてブラックウォッチのパンツ。また、戦いに出る彼らだから、大胆なポケットの配置、あるいはバックパックを融合させたジャケットで万全の装備を兼ね備えている。
血色がなく人間味を失った風貌の彼らは「THE LARMS」。メインで身に着けたアウターは、工業用資材のようなテクニカルな素材を用いていて、硬質的でもあり滑らかでもある。アンダーカバーらしい独特のカラーで、あたかも防護服のようなそれは、どのグループよりも近未来的。光に当たると光を反射するようにキラキラと輝き、敵を威嚇する。