ダックス(DAKS)は、2019-20年秋冬メンズコレクションをイタリア・ミラノで発表した。
創業125周年を迎えるダックスが今季インスピレーションを得たのは、英国文学。英国文学史に名を遺した3名のイギリス人作家と、その名作に焦点を当てている。中でも、カズオ・イシグロの小説『日の名残り“THE REMAINS OF THE DAY”』の舞台となったマナーハウスに着目。そのノーブルなイメージを投影した、ゆったりとしたスタイリングからは、英国ならではの、昔ながらの優雅さが感じられる。
展開されたのは、盤石のクラシックスタイル。アーカイブの生地や素材も採用し、125年分の歴史を歩んできた風格が滲み出ているような、堂々とした余裕のあるルックが一堂に会した。ハンチングハットにチェックのセットアップ、レザーのロングブーツ、センタープレスのスラックスなど、英国紳士が身に着ける正統派の装いが揃う。
ハットには優雅な曲線美を描くフェザーがあしらわれ、ベロアジャケットの襟には刺繍とともに華やかなフェザーの装飾が施されている。ジョッパーズパンツにレザーのロングブーツ、艶やかなレザーのウエストバッグなどは、活動的な紳士のたしなみである馬術を連想させる。
注目したいのは多彩なチェック柄。アウターやニットにあしらわれたアニバーサリーチェックは、記念すべき年の特別感を象徴するかのようだ。品のあるチャコールグレーとホワイトのマドラスチェックには、タートルネックのインナーに連動したレッドのラインがアクセントを効かせる。シックなモスグリーンのチェックウールを採用したチェスターコートには、ダックスのロゴが光るベルトでウエストマーク。背筋の伸びるような、凛とした佇まいを演出する。
また、ガンクラブチェックのステンカラーコートに、深みのあるマドラスチェックのウールジャケット、オレンジがかったチェックのスラックスと、異なる種類、質感のチェックを組み合わせたスタイリングも登場。落ち着いたトーンの色彩が互いに馴染み、一体感のあるルックに仕上げている。チェックだけでなく、ピンストライプ、ヘリンボーンなども、厚みのある生地で立体的に表現されていたかと思えば、薄く柔らかな生地にもプリントによって同様の柄が施され、コレクションに緩急を生み出している。
メリノやカシミヤ、モヘアなど、上質な素材のニットウェアも充実。カーキ、ベージュ、グリーンなど、様々な色彩が油彩画のように入り混じったニットセーターには、肩の部分にレザーをあしらい端正な表情に。温かみのあるアーガイル柄ニットは、マスタード、ベージュ、カーキといった穏やかな色彩と、柔らかな起毛感によって、優しいノスタルジーへと誘う。