ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)の2019-20年秋冬コレクションが、2019年3月20日(水)東京・渋谷ヒカリエで発表された。
今季のスタートは、デザイナー吉田圭佑が抱いた一つの問いから。周りの人から見られる自分、こう見られたいという理想の自分。自分にまつわる自問自答の探求から得た思考、そしてプロセスそのものをファッションに落とし込んだという。
本当の自分がわからないという葛藤は、モデルの顔をぐるぐるに巻き付けた包帯や、顔が半分以上かくれたフード、ストールなどの演出、小物選びに反映させた。
ショーの始まりは聖歌と共に。カトリック系の学校に通っていたというデザイナーの吉田は、恩師との再会をきっかけに学生時代を振り返り、ミサの時間に着目しこの曲を選んだという。
「今本当に自分がカッコイイと思うもの」を厳選したというコレクションピースは、エネルギッシュでパワフル、そして少しだけ“おどろおどろしさ”がある。
特徴的なのはパワーショルダー。大きな羽根のように広がったビッグショルダーのジャケット、アウターがランウェイに姿を現す。力強さの象徴ともいえるピースが、色気を具現化したかのようなセクシーなピンヒールシューズ、ブーツとコンビネーションされている。
“普通は嫌だ”そんな声が聞こえてきそうなほど、ほぼほぼ全てのアイテムは解体され、変形されている。ダッフルコートは、ボディを包み保温するという従来のアウターの役割からは開放され、カットアウトされエプロンのような形状に。
コート類は2枚仕立てになっていて、なぜだか外側のテキスタイルがめぐりあがり、裾が後ろのネックラインにと止められている。オーバーサイズのレザーコートは、反して共布の素材が重ねられ、スカートかストールのように上半身に巻き付けられている。
MA-1も同様に、同じテキスタイルが重ねられ、今度はひっくり返し裏地を見せた状態でケープのように重ねられている。
個性とパワーがぶつかり合う中で、さらにパンチを効かせているのが、全面トグルボタン“巻き巻き”のピチピチパンツ。追い求めたのは個性なのか、色気なのか。それは定かではないがデザイナー吉田の追い求める、かっこいいファッションを突きつめたいという純粋な思いがそこには反映されている。