2012年10月3日(水)、フェアトレードの専門ブランド「ピープル・ツリー(People Tree)」代表サフィア・ミニーの最新著書「NAKED FASHION - ファッションで世界を変える - おしゃれなエコのハローワーク」が発売される。その出版記念発表会とパーティーが、2012年9月20日(木)代官山蔦屋書店にて行われた。

本書は、女優エマ・ワトソン、デザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドやツモリチサトといったファッション、カルチャーの分野で変化を起こすクリエイターたちへのインタビューを掲載するとともに、ハローワークとしての一面も持つ。これから新しいことを始める人にエシカルをはじめとした社会貢献という選択肢を与えてくれるのだ。サフィアもかつては広告業界という華やかな世界に身を置いていたが、だんだんとその中でのお金の動きに疑問を感じた。そして、もっといい方向にお金を使いたいという思いを抱くようになり、今の活動を始めたそうだ。「買い物はもちろん、自分のキャリアにおいてもグローバルな視点で社会貢献をするのは、何らかの形で自分のクリエイティビティも活かせますし、何より楽しいです」と語る。

ピープル・ツリーで売られる服は、すべてフェアトレード商品で、人と環境に優しい自然素材が使われている。とはいっても、「やはりファッションはかっこよくなくては誰も着てくれない」とサフィアは自覚している。そのために創立当初から徐々に服のデザインに改良を加えてきた。進化を重ねた服たちは、ファッショナブルで今では普通のブランドの服と比べても見劣りしない。さらに、今秋冬からはリトルブラックドレスのラインを立ち上げたり、メンズのラインナップも今までの2倍になるという。「手に取ったらたまたまエシカルファッションだった」がサフィアの掲げる理想なのだ。エシカルファッションはおしゃれじゃない、という懸念を乗り越えたという点でもピープル・ツリーは革命的だったのかもしれない。

また、発表会には、本書に序文を寄せたファッションジャーナリスト生駒芳子が駆け付けた。早い段階からエシカルファッションという新しい動きに注目していた生駒は、日本のエシカルファッションの第一人者ともいえる。「コレクションを見に行ってる時の気候が変わったんですね。ファッションがこのままの流れではすまないなと。キャットウォークを観察する視点が変わりました」。また、消費に対しては、「ショッピングで世界を変えようという言葉が昨今謳われていますが、ショッピングとは選挙のようなものだと思うんです。自分がいいと信じる企業やブランドに一票投じるのが世界を変えることのできるショッピング」と語り、「一緒に良い大きな動きを作っていけたらと思います。おめでとうございます」と締めくくった。

発表会後のパーティーでは、サフィアや生駒に加えパスザバトンなどを展開するスマイルズ代表 遠山正道をはじめとしたエシカルに関わりのあるメンバーによってミニトークショーが開かれた。その中で、ファッション界においての"sustainability(持続可能性)"と"trustability(信頼性)"の欠如が課題として挙げられた。ファッションは、半年おきに流行がめまぐるしく変わり、商品が次から次へと消費される。またファッションは食品のように生産地や生産者の顔が見えづらいのが現状だという。

サフィアが、本のタイトルに使った"NAKED"という言葉には、人に対して、また環境に対しても偽りがなく"本物"で"honest(誠実な)"といった意味が込められている。物資と情報に溢れ、物事の信憑性が問われる世の中にあるからこそ、今ファッションにおいてもエシカルというまっすぐな姿勢が求められている。

【書籍情報】
「NAKED FASHION - ファッションで世界を変える - おしゃれなエコのハローワーク」
著者 : サフィア・ミニー(ピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジ代表)
発売日 : 2012年10月3日(水)
価格 : 1,680円(税込)
販売場所 : 全国の主要書店、オンライン書店、ピープル・ツリー直営店、通販およびオンライン販売、全国のピープル・ツリー取扱店など