企画展「死と再生の物語(ナラティヴ) ——中国古代の神話とデザイン——」が、東京・六本木の泉屋博古館東京にて、2025年6月7日(土)から7月27日(日)まで開催される。

中国古代の文物に見る意匠

高度な文明が発達した中国古代では、青銅器をはじめとするさまざまな文物が作られ、そこには動物や植物などをモチーフとする濃密な意匠が施された。こうした独特の意匠は、当時の人々の思想を背景に生まれたものであったといえる。

企画展「死と再生の物語(ナラティヴ) ——中国古代の神話とデザイン——」は、泉屋博古館が所蔵する青銅鏡などを通して、中国古代の洗練された意匠、そしてその背景にある神話や世界観を紹介。世界屈指の青銅器コレクションから、青銅鏡などの名品を選りすぐって公開するとともに、中国古代に生まれた物語や意匠を受け継いだ日本美術にも光をあてる。

動物や植物をモチーフに

中国古代の文物には、実在・空想のさまざまな動物が意匠として施されている。こうした動物は、単なるモチーフではなく、天と地を繋ぐ役割を担っていた。また、文物に表された生い茂る植物は、生命力を象徴するものであった。本展では、動物や植物の意匠に着目しつつ、殷の《鴟鴞尊(しきょうそん)》や《戈卣(かゆう)》、前漢の《蟠螭樹木文鏡(ばんちじゅもくもんきょう)》といった文物を展示する。

天文にまつわる意匠

中国古代の人々にとって、天文の知識は生活のうえで必要であるばかりでなく、世界に生じる出来事を前もって知るための技術でもあった。そのため、天文にまつわるモチーフは、吉兆が起こる前兆として現れる「瑞獣 (ずいじゅう)」とも関わりつつ、意匠に表されるようになった。会場では、前漢末の《方格規矩四神鏡》や後漢の《重列神獣鏡》など、天文にまつわる意匠を施した文物も目にすることができる。

七夕伝説と日本

中国古代で生まれた物語や意匠は、しばしば日本美術にも受け継がれた。その一例が、七夕伝説だ。織姫と彦星の恋物語は、不老不死を司るとされた仙女「西王母」の信仰と関連しつつ、死と再生をめぐる当時の人々の考えを反映するものであった。本展では、近代の日本画家・上島鳳山(うえしま ほうざん)の《十二ヶ月美人》といった日本の絵画などを交えて、七夕伝説のイメージの変遷を紹介する。

展覧会概要

企画展「死と再生の物語(ナラティヴ) ——中国古代の神話とデザイン——」
会期：2025年6月7日(土)〜7月27日(日)
会場：泉屋博古館東京
住所：東京都港区六本木1-5-1
開館時間：11:00～18:00(金曜日は19:00閉館)
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日：月曜日(7月21日(月・祝)は開館)、7月22日(火)
入館料：一般 1,200円(1,000円)、学生 600円(500円)、18歳以下 無料
※20名以上の団体は( )内の割引料金
※障がい者手帳などの提示者本人および同伴者1名までは無料
※企画展と同時開催展の両方を観覧可

【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL：050-5541-8600