岐阜・瑞浪にある「柳家(やなぎや)」は、地元の人のみならず、全国のグルメ通をうならせる人気店。
世界の優れたレストランを紹介するフランスのガイド「ラ・リスト」で10位にランクインし、ミシュラン東海3県の2019特別版で2つ星を獲得。グルメサイト「食べログ」では、過去に総合ランキング10年連続1位という、もはや伝説と言ってもいいほどの偉業を成し遂げている。
4人以上から受付の完全予約制で、一見さんはお断り。名古屋から1時間ほどの岐阜の山奥にあり、決してアクセスがいいとは言えない。しかし、“それでも柳家は行く価値がある”と、食べた人が皆口を揃える。
ミシュラン獲得後、柳家に向かってみた。今回はその模様(2019年5月)をレポート。
江戸時代後期の古民家を移築した店内は、囲炉裏を囲む掘りごたつ席で構成されており、趣たっぷりの空間の中味わうメニューは、厳選食材を使用した郷土料理を堪能できる「おまかせコース」のみとなっている。
春の主役は青々とした山菜、夏の主役は鮎や鰻などの川魚、秋の主役は松茸などのキノコ類、そして冬の主役は猪肉や熊肉などのジビエ。各季節ごとに、旬の食材をふんだんに用いた郷土料理を提供している。
例えば、5月のメニュー。前菜は岐阜・東農地方で昔から愛されてきた山菜からスタート。
そこから、アマゴや鮎など川魚の焼き物、サクラマスのお刺身、山菜や鮎の天ぷら、猪肉や鹿肉の焼肉、そして猪肉を使用したネギまなどを味わえる。囲炉裏で焼かれる川魚や焼き肉は、視覚でも味覚でも楽しむことができる。
また、心も体もあたたまるお鍋は、山菜と猪肉を赤味噌で煮込んだもの。どこか懐かしい味わいで、コースのクライマックスを飾る。
季節の山菜とともに炊き込んだご飯は、山椒も程よくアクセントになっており、しし鍋と一緒に楽しむと相性抜群。
四季折々に旬の食材が入れ替わることに加えて、ひとつの食材に対して季節の違いを感じられるのも、食材を知り尽くしている「柳家」ならではの魅力だ。春夏と秋冬で味や歯ごたえが異なる鹿肉や、産卵期を迎える秋ごろの子持ち鮎など、その時々の食材の個性に目を向けるのも楽しい。