キディル(KIDILL)は、2020年春夏メンズコレクションをフランス・パリで発表した。
今季のコレクションは、英国のゴシックバンド・バウハウスのヴォーカリスト、ピーター・マーフィーに捧げるオマージュがテーマ。ダークさと、パンクなオーラをまとったデザインで、刺激的かつアヴァンギャルドなムードを見せた。
象徴的なのは、ブリティッシュ・ユースカルチャーの隆盛や、パンクロックムーブメントの時代を鮮明に写し出した写真家、シーラ・ロックが撮影した写真だ。ラフなシルエットのTシャツや、半分スウェットと切り替えたライダースジャケットにダイナミックにプリントされている。
ニットは、見頃や裾などに大きな穴を開けたダメージ加工が印象的。穴やほつれた箇所が、服にノイジーな歪みをもたらしている。
また、Eri WakiyamaのイラストをあしらったTシャツや、こうもりとバラを描いたプリントシャツ、ゼブラとレオパードを組み合わせたブルゾンなど、ポップなモチーフも登場。キャッチーながらも、どこか毒々しさのあるムードを放つ。
ジャケットやシャツに配したタータンチェック、先の尖ったスタッズのアクセサリー、こうもりや人形を連ねるようにしてあしらったリュック、大量にあしらわれた安全ピンなど、パンクなディテールが鋭利な雰囲気を強調する。
トップスの造形は、ボディのラインを意に介さないオーバーシルエット。布の分量をたっぷりと取って仕立てたシャツ、パッチやロゴをあしらったデニムジャケットなどは、身体の輪郭を大きく上回る大胆なパターンメイキングで仕立てられている。ボトムスに、スキニーパンツをセレクトしてシルエットにメリハリを付けたルックが登場する一方、オーバーなトップスにワイドパンツを合わせた、ボリューム感のあるスタイリングも展開された。