シュガーヒル(SUGARHILL)は、2024年春夏コレクションを2023年6月12日(月)に東京オペラシティ ガレリアにて発表した。
2024年春夏シーズンのコレクションタイトルは「Orbit」。ファッションデザインを始め、情熱的に走り抜けてきた思春期から、より冷静に、合理的な方法でクリエーションを進めるようになった時期を経て、じわじわとまたシュガーヒルのクリエーションに対して熱が帯び始めてきたという、デザイナーの林陸也。
一周回って円を描き始めてきたような自身の感覚にインスピレーションを得て、シュガーヒルの“現在地”を表現。同時に、今まで歩んできた軌跡と、これから進んでいく方向の対比もあわせて落とし込み、時の経過と変化、成熟の過程を描き出している。
目を引いたのは、褪せたような色合いや、ダメージ加工を施したデニムなど時間の経過を思わせるピース。コーラルピンクのチェックシャツや、ミントグリーンのパーカ、ショートパンツなど、柔らかな色味のウェアはどこかノスタルジックな表情を帯び、穴の開いたダメージデニムのジャケットやパンツ、スウェットパーカーなどは、その溶け出すようなケミカルな質感によって、身体によくなじみ独特の一体感を生み出していた。
また、風合い豊かなレザーブルゾンにロールアップしたデニム、ローファーを合わせたスタイリングや、チェックシャツにデニムベストを重ねたルック、ライダースベストにブーツカットのジーンズを合わせたコーディネートなど、グランジファッションのテイストが随所に感じられたのも印象的だ。
ゆったりとしたライダースジャケットにダメージデニムのハーフパンツを合わせたルックは、パンツのダメージと呼応させるかのように腰に巻いたチェックシャツにもパンチングを施し、さりげなく遊びをプラスしている。
コレクションにアクセントを効かせるのは、光沢や金属によるメタリックなディテール。テーラードジャケットにはコーティングを施し、シャイニーな質感に。ボリュームのあるカーゴワイドパンツやデニムパンツには、いくつものハーネスを連ねてソリッドな装飾を加えた。一方で、透け感のあるシャツの腰に装着されたハーネスは、センシュアルなエッセンスを漂わせていた。
柔らかくしなやかな素材感を生かした、流れるようなシルエットのアイテムも散見された。細いリボンをいくつも結んで前を留めるシアーなロングシャツや、プリーツを施したチェック柄のロングシャツは歩を進めるたびにふわりと揺れ、余韻をのこしていくような佇まいを見せていた。チェック柄のトレンチコートは布地をたっぷりと使い、布地の落ち感と呼応したギャザーやドレープを効かせることで存在感を強めている。