ダブレット(doublet)の2019年秋冬コレクションは、「Surprise! "驚き!(なさい)"」がテーマ。今シーズンの服には、ひとめ見ただけでは想像しえない“サプライズ”が隠されている。
デザイナーの井野将之はこう考える。「驚かせるという行為には、相手のことを思い浮かべリアクションを想像しながら準備や段取りに取り掛かる。喜ばせる、楽しませることと同じように驚かせるという行為には愛がある」と。
つまり、今季のサプライズだらけの洋服たちは、ホラーで奇怪な雰囲気ではあるが、それらを身に纏うことは、すべて“愛”を纏う感覚に似ているということ。
パーカーには思い出のチェキランダムに張り付けた。と言っても、初見では真っ黒で何も映っていない。ここに生まれるサプライズは、フラッシュ撮影すると、そこにはおどろおどろしい写真がちが浮かび上がるというものだ。
ビックシルエットのジャケットは、“首無し人間”にはちょうどいいサイズ。“首有り人間”にはちょっと大きいサイズ。高さ20センチほどの肩パットが入っており、どんな人でも着ればたちまち首無し人間になれるという。しかし、肩パットをとれば、オーバーサイズのジャケットへと早変わりする。
オーバーサイズであるが故、どんなに着こんでも着ぶくれすることなく、シルエットを保ってくれる、実は寒い冬に優しい1着だ。
ダブレットで秋冬の定番となりつつあるフェイクファーコートのバックスタイルには、ペイントで大きくピエロを描いた。そしてそのピエロはニットにも登場している。
表から見ると逆さまに編まれたピエロの模様だが、それはピエロに変身するサプライズのため。裏返して頭にかぶれば、身に着けた人物が変身できるというニットのサプライズは、思わず笑わずにいられない。