姫路市立美術館と姫路文学館の共同展覧会「生誕120年 文豪川端康成と美のコレクション展」が、2019年9月14日(土)から11月4日(月・休)まで開催される。

川端康成と美術コレクション

日本人初のノーベル文学賞受賞作家 川端康成は、美術愛好家として知られ、その審美眼で様々な美術作品を収集していた。現在は、そこに川端の直筆資料や、同時代の文豪たちの書幅、書簡などが加わり、膨大なコレクションとして公益財団法人川端康成記念会に所蔵されている。

「生誕120年 文豪川端康成と美のコレクション展」は、川端のコレクション展では過去最大規模となる約280点を、美術館と文学館で140点ずつ展示する。姫路市の文化施設で国宝の絵画が公開されるのは、今回が初となる。

国宝《十便十宜図》や、黒田辰秋の漆芸など

姫路市立美術館では、国宝に指定される池大雅・与謝蕪村《十便十宜図》をはじめとする古美術、近現代日本絵画、工芸品、西洋美術にいたるまでを展示し、彼のもっていた美の世界観に迫る。

5章に分けて展開する美術作品の中で、注目は第2章の「川端と古美術」だ。国宝《十便十宜図》の画帖を、会期中4～5日ごとにページを変えて展示するため、日によって《十便十宜図》の違う画帖を観覧することができる。池大雅・尾形光琳らも含め古美術を惜しみなく紹介していく。

また、第1章で紹介するのは、川端が仕事机に置いて愛でていたと言われるロダンの彫刻《女の手》ほかピカソ、ルノアールらの作品。そのほか、第4章では、人間国宝 黒田辰秋による漆芸や、北大路魯山人による陶器など、第5章ではシュルレアリスム画家の古賀春江、川端がいちはやくその才能を見出した草間彌生らの絵画作品が揃っている。

川端康成の名作、三島由紀夫や夏目漱石ら文豪の書跡

名作『伊豆の踊子』や『雪国』で知られる川端康成は、1968年に日本人初のノーベル賞を受賞。数多くの作品において、幽玄なる日本の美意識を追求し続けたと高く評価される。

姫路文学館では、そんな彼の作品群を紹介しながら、直筆原稿や書幅、近年自邸で新たに発見された初恋の人・伊藤初代宛の未投函書簡などを展示する。

初期の人気作『浅草紅団』や、ノーベル文学賞受賞に際して高く評価された『雪国』『古都』などに触れる第1章にはじまり、収集した古典資料、川端コレクションから見える播磨の文芸・歴史を紹介。

第4章では、川端の盟友・横光利一、若き同志であった三島由紀夫、さらには夏目漱石や太宰治ら日本近代文学を代表する作家たちの書跡が一堂に会する。そして、最終第5章では、日本の伝統美への眼差しを持ち続けた川端が愛したと言われる国宝《凍雲篩雪図》を公開。なお、同作は、9月14日(土)から16日(月・祝)と、10月29日(火)から11月4日(月・振休)の期間のみ原物を展示する。

【詳細】
「生誕120年 文豪川端康成と美のコレクション展 古今東西の名画、文豪たちの書―幽遠を見つめる眼」
期間：2019年9月14日(土)～11月4日(月・休)
会場：姫路市立美術館 企画展示室／姫路文学館 企画展示室・特別展示室
開館時間：10:00～17:00(入場は16:30まで)
休館日：月曜日(9/16、9/23、10/14、11/4は開館)、9/17(火)、9/24(火)、10/15(火)
観覧料：一般 1,400円(1,120円)、大学・高校生 600円(480円)、中学・小学生 300円(240円)※( )内は前売または20人以上の団体料金
※会期中、一部作品の展示替あり

【施設概要】
■姫路市立美術館
住所：兵庫県姫路市本町68-25
TEL：079-222-2288
■姫路文学館
住所：兵庫県姫路市山野井町84
TEL：079-293-8228