2013年の春夏コレクションについて聞かせてください。
テーマは、"HOW to Affect Robots and Influence People"で、今季は人間とロボットの関係性に着目しました。人は、アンドロイドのような完璧さを追求し、一方でロボットに人間的な感情を与えようとする研究が進んでいることが気になったんです。
人と機械の関係性が気になったきっかけは何だったのですか?
前作のリゾートコレクションのためのリサーチで、コンピューターの前に座りっぱなしの生活が続いていたからでしょうね。そのころに浮かんだコレクションです。周りからの評判も上々で、ブランドにとって意味のあるコレクションとなりました。
テーマがデザインの中にはっきりと見て取れる部分はありますか?
人のあくなき美への探究を取り上げたことから、コスメからデザインをイメージしたアイテムがあります。ノーカラージャケットの袖部分のベージュは、ファンデーションを意識し、プリーツスカートは東京のデパートのコスメ売り場に見られる色とりどりのメイクアップパレットがインスピレーション源です。
特に気に入っているアイテムを教えて下さい。
グレイカラーのレザーのペンシルスカートですね。フロントに施した、バイカージャケットのようなジップがポイントです。あと、大きなリボン型ポーチが付いたスカートは、クラッチバッグを持たずにパーティーへ繰り出せる画期的なアイテムですよ。
毎シーズン、ユニークなコレクションテーマを打ち出していますが、テーマはどのように思いつくのですか?
コレクションテーマは、私一人の頭の中で突如に思い浮かんだりはしません。一年間を通じて、デザインチームのメンバーたちと話し合いながら決定します。私たちは、意見交換を大切にしているんです。それに友人やブランドの周りにいる人達の意見を参考にします。服のプリントからショーに至るまで、たくさんの仲間達に支えられており、まるで大家族のような感覚です。
デザインにおいて最も大切だと思うことは何でしょう?
私は、服の背景について考えるようにしています。例えば2013年春夏リゾートコレクションの"emoji collection"では現代社会において絵文字が生み出す人工的な感情について考えました。そして、着やすいということも重要なポイントとしていますね。アヴァンギャルドなデザインに挑戦するデザイナーに敬意をはらっているのも事実ですが、私が目指すのはいろいろな服と合わせやすくて人々のクローゼットの中に加えてもらえるような服です。その域を超えない範囲でユニークな遊び心を加えたり、挑戦的なことをしたりしています。
独創的なテーマにも関わらず、その作品は現実的で手の届くデザインだという点は、毎シーズンを通して感じられるアンティポディウムの特徴だ。そして、2013年春夏リゾートコレクションの"emoji collection"からは初アクセサリーコレクションがスタートし、クリエイションの幅は現在進行形で広がっている。
アクセサリーコレクションを始めようと思ったきっかけを教えて下さい。
アクセサリーはジュエリー・デザイナー、エボニー・フルール(Ebony Fleur)とのコラボレーションから生まれました。アクセサリーを展開しようと思った理由は、コレクションのインスピレーション源となった、Jem and the Hologramsという子供時代に大好きだったアニメの主人公が特徴的なイヤリングをしていたのを思い出して、「イヤリングを作らなきゃ!」と思ったんです。アクセサリーコレクションの中でも一番気に入っているのがそのイヤリングです。中にLEDライトが入っていて、光るんですよ。クラブに行くときなどに付けたらバッチリですよ。ダンスフロアーで目立つこと間違いなしです。
顧客にはセレブやアーティスト達が名前を連ねていますね。(クラウディア・シファー(Claudia Schiffer)、アレクサ・チャン(Alexa Chung)、ラナ・デル・レイ(Lana Del Rey)がコレクションを着用している。)
私はセレブに疎いので、自分のブランドや展示会に有名な人が来ていても気づかないことが多いです。ブランドのパーティーに来てくれたセレブの名前がわからなくてその場でグーグルで検索するなんてこともあります。そのため、セレブを追い掛け回したり、彼らを特別に意識したことはないです。それでも有名な方に服を着ていただくのはありがたいですね。