アンダーカバー(UNDERCOVER)の2020-21年秋冬コレクションが、フランス・パリで2020年1月15日(水)に発表された。テーマは「Fallen Man」。
今季は、パリ市内のサーカス場が再び会場に。ファッションショーというよりは“体感型”エンターテインメントに近しいもので、モデルによるランウェイショーとコンテンポラリーダンスをミックスしたような独自の演出が行われた。
着想源となったのは、1950年代黒澤明監督のもと生まれた映画『蜘蛛巣城』だ。シェイクスピアの戯曲『マクベス』を日本の戦国時代に置き換えたといわれる作品で、三船敏郎が演じる主人公が、無数の矢を浴びるシーンが印象的だといわれる名作だ。
ショーでは、この名シーンを再現。円形型の会場中央では、高い天井から落ちる矢から“侍風”の男性ダンサーが逃げまわったり、白煙の中正体不明のものと出会ったり…、その演劇ストーリーに思わず熱中してしまうほど、ドラマティックなパフォーマンスが披露された。
ショーは、複数のグループに分かれ、各セッション複数のモデルが同じテーマ性を持った、色違い・柄違いの出で立ちで登場する。各回それぞれの個性があり、カラフルなボーダーニットシリーズや、厚底の下駄シューズと裾まくりパンツのコンビネーション、たすきがけ風のリボンを巻き込んだアウター群など、バリエーション豊富なラインナップである。
中でも印象的なのは、和服へオマージュを捧げたセッションだ。様々なファブリックを組み合わせてモダンな鎧を完成。ボディはワークウェア風ベストで、インナーはカジュアルに切れるロングニットなのに、腕周りはアタッチしてがっちりと固めてボディを防御。バックスタイルをはじめ随所に家紋のようにうさぎや月のモチーフをあしらい、足元はモダンにブーツでまとめた。
本来は内側にあるはずの半衿が外側に露わになった着物風ガウンシリーズも注目。和柄を想起させる総柄パターンのディテールが、アウターの上で露わになっている。ボディは着物では使われないテクニカル素材で、帯に代わって太目のロープがウエストラインに鎮座している。
また、着物風の羽織りも鮮やかなカラーでアップデート。ライムカラーのセットアップは、胸前で重ねず軽くはおったガウン風のスタイルに。ボトムスはクロップド丈でカジュアルにまとめ、インナーには柄ニットをあしらってユニークに着こなしている。