ランバン(LANVIN)の2020-21年秋冬コレクションが、2020年1月19日(日)フランス・パリで発表された。テーマは「ビーチバード」。鳥の群れが海辺で楽しんでいるようにダンサーたちが躍る、マース・カニンガムによる振付「ビーチバード」にちなんだものだ。
今季、クリエイティブディレクターのブルーノ・シアレッリに影響を与えたのは、ユーゴ・プラットのコミックブック。特に、コミックに登場する海軍コートを着たヒーロー、コルト・マルテーゼからのインスピレーションは色濃くコレクションに反映されている。
トレンチコートには、コミックの1シーンを切り取ったかのように、涼しげな海や優雅に空飛ぶ海鳥がペイントタッチで描かれいる。純白ニットには、大空を飛ぶ鳥たちとそれを見つめるコルト・マルテーゼの姿が。海のように真っ青なレザージャケットの下に仕込んだフーディトップスには、ユーゴ・プラットのコミックブックを想起させるイラストをあしらった。
海から派生しているのか、コレクションにはマリンテイストをアレンジしたピースも見られた。Pコートの襟部分を大きく開いたようなコートは、デフォルメされた襟部分が別色になっていて、従来のPコートよりポップな表情。ボーダーニットとカーディガンの2ピースは、大ぶりなスパンコールでデコレーションされている。
シルエットはどれもフレアで、波のようにゆらゆらと揺らめいている。ウールギャザーやウールドリル、類稀なレザーなどマテリアルを贅沢に使用して、ユニークなプロポーションを構築している。コルト・マルテーゼ着用アイテムを想起させる、海軍由来のリーファージャケットは、肩の部分が膨らみ袖先にむかって細くなる独特のフォルムのアームを起用。
中には、膝の位置から大きく四方に開いたルーズなアームラインのジャケットや、膝位置まで伸び切ったアームのアウターもある。メンズコレクションと同時に登場したウィメンズのロングドレスも、フレアなラインを描き、裾にはたっぷりのひだ飾りをあしらって、紳士服同様に重心を下にとったプロポーションとなっている。
コーディネートはどれも違和感を感じさせるほどアンバランスだ。クラシックなジャケットやシャツスタイルに、ドット柄やストライプ模様のニット帽をあわせていたり、大ぶりなネックレスをあわせていたりする。足元のスニーカーもシューレースが非常に太く、カラフルな色彩を取り入れている。
ドラマティックなケープドレスも、パーティバッグのような小ぶりなアクセサリーで揃えているのに、足元にはぶかぶかなブーツをバディのように何度も組み合わせている。