特に、アイコンシェードと呼ばれる3つのカラーは、アイコンバッグやオレンジボックスなど、エルメスを象徴するアイテムから生まれたものだ。
ルージュ H:1925年に生まれたエルメスのアイデンティティといわれる色「ルージュ H」。エルメスで初めてレザーに色を付けたこのカラーは、青みでも黄色みでもなく独特のカラー。褐色を含んだボルドー寄りのカラーは、今なお愛され続けている、エルメスを象徴する色。
オランジュ・ボワット:一目でエルメスだとわかるオレンジボックスから生まれた、明るくエネルギーに満ちたオレンジ。実は着想源のオレンジボックスは、包装材用の紙の在庫切れから偶然に生まれたもの。
ルージュ・カザック:バッグ≪ケリー≫が思い出されるルージュ・カザック。かすかにブルーを含んだこだわりの赤は、ジューシーで濃厚な印象的なカラー。
これらのアイコンシェード3色は、サテン・マット両方の質感から登場。テクスチャーによって発色も異なり、例えば、サテンの「オランジュ・ボワット」は落ち着いたトーンに、マットな「オランジュ・ボワット」は、オレンジボックスを想起させる鮮やかなカラーが楽しめる。
〈ルージュ・エルメス〉はトーテム型のパッケージも特徴的。ラッカー仕上げのメタルに、ブラック・ホワイト・ゴールドのパーツを手作業で組み合わせて製作。サテン・マット質感を直感的に選べるよう、サテンには艶ありのパーツを、マットには艶消しのパーツを選んでいる。
開けやすく閉めやすいマグネット式ケースは、開閉音にもこだわりが。複数の音の中から、最も心地よく、そして使うのが楽しみになるように…と願いを込めて、ベストな音を選んでいる。またリップスティックを開けるときから、塗布するとき、そしてバッグやポーチにしまうときまで、すべての一連の所作が美しく見えるように計算されている。
キャップには、エルメスのモチーフ「エクスリブリス」をあしらった。これは、1923年創業者のエミール・エルメスがデザインした蔵書票のモチーフだ。
この〈ルージュ・エルメス〉のケースは、レフィルを変えて使うことが可能。外のケースはそのままに、内部のルージュ部分を新しいレフィルにチェンジすれば、長く使用可能だ。ここにも、親から子へと受け継いで使える普遍性の高いデザインを提供し続ける、エルメスのデザイン姿勢が反映されている。