アキラナカ(AKIRANAKA)の2020年秋冬コレクションが発表された。テーマは「フランシス・ベーコン(FRANCIS BACON)」。
今シーズンのインスピレーション源になったのは、デザイナーのナカアキラがパリで見たフランシス・ベーコンの絵画。狂気に満ちたその絵の中に垣間見えるエレガントな美しさを、コレクションピースのディテールやシルエットに落とし込んでいる。
ジャケットは今シーズンのムードを象徴するアイテム。たとえば、フランシス・ベーコンが自身の絵を完成させた後に切り裂いて捨てていたというエピソードから着想を得たのがピークドラペルのテーラードジャケットだ。前身頃を切り裂くようにして大胆にカットすることによって、緻密に作り込んだクラシカルなシルエットを際立たせている。
立体的なフォルムのノーカラージャケットは襟元に歯を抜いたファスナーをあしらったり、ダブルブレストのジャケットはファーをドット状に散りばめたり。斬新なディテールや装飾で、ジャケットというアイテムが持つエレガントな魅力を浮き彫りにした。ナカアキラはデザインのプロセスの中で、一見相反するものと捉えられがちな“狂気”と“エレガンス”に強い親和性を見出したという。
ジャケット以外のアイテムは、ゆったりとしたシルエットのワイドパンツや、パフスリーブのロングドレス、艶やかな光沢を纏ったブラウスなど。上品な佇まいが魅力だが、パンツにはうねるようなラインが描かれていたり、ドレスのスリーブは独特のボリュームが出るように設計されていたりと、細部にまでこだわり抜くことで、フランシス・ベーコンの絵画が持つ雰囲気をコレクション全体で表現している。
カラーパレットはブラック、ホワイトのモノトーンをベースに、ブラウン、ベージュといったニュートラルカラーや、アクセントカラーのピンクを織り交ぜて。そこにアキラナカが得意とするマルチカラーのジオメトリックや、コントラストを効かせたカラーブロッキングを取り入れている。