3.1 フィリップ リム(3.1 Phillip Lim) 2013-14年秋冬メンズコレクション。今回は日本語の「そのまま」がテーマ。1960年代に若者の間に流行していたカフェレーサー文化がインスピレーションの源だ。
カフェレーサー文化とは毎晩のようにカフェに集まり、自慢のカスタムバイクを乗り回す若者たちのカルチャー。ジュークボックスから音楽を流し、曲が終わるまでにどちらが早く戻ってこれるかを競うレースを公道で行っていた。レースをしながら放浪の旅をしていた彼らには、時代の流れや流行のファッションにとらわれない自分のスタイルがあった。
カラーパレットは吸い込まれるようなブラックや、グレーが中心。ホワイトや明るいブラウン、さらに迷彩柄やエスニック柄がアクセントとなり、シンプルでありながら豊かな色合いのスタイリングとなった。
伝統的なテーラリング技術と厳選された素材で、構築的なデティールで形式にとらわれないデザインが施されたアイテムが特に目を引く。中でも異素材がマルチストライプ状にパッチワークされた、ジャケットやパンツがエッジィだ。また、レザージャケットも独特な存在感を放つ。無骨なイメージのレザージャケットを、丸みを帯びたカッティングや腕のパッチワークでアレンジし、エレガントな印象に仕上げた。
ファッションとは何か、フィリップ自身が感じた「ファッションのあり方について」追及したメッセージ性の高いコレクションとなった。ファションを変身するための道具としてではなく「ありのままの自分」を表現するツールとし、移り変わりの激しい今の時代をエンジョイして欲しいという願いが込められている。