滋賀県立琵琶湖博物館は、6年にわたるリニューアルを経て、2020年10月10日(土)にグランドオープンする。
「湖と人間」というテーマのもと、自然と文化の両方を扱う総合博物館である琵琶湖博物館。全国でも珍しい淡水専門の水族展示を持つ日本最大級の展示施設となった2016年の第1期リニューアル、空中遊歩道「樹冠トレイル」や標本や剥製など実物資料を手に取って楽しめる知的空間「おとなのディスカバリー」などを新設した2018年の第2期リニューアルを経て、第3期リニューアルが完了。満を持してグランドオープンを迎える。
新たな琵琶湖博物館のコンセプトは「びわこのちから」。400万年の時を経てきた日本で一番大きい古代湖・琵琶湖と、生き物、人の長く深い繋がりこそが「びわこのちから」だという意図が込められている。
第3期リニューアルでは、2つの展示室が装い新たに登場。400万年前の琵琶湖や自然、生き物の変化について、現在の環境との関わりとともに紹介する「A展示室」では、化石や地層の標本、過去の環境を体感できる復元ジオラマなどを展示。大きく変化し続けてきた琵琶湖と生き物のストーリー、琵琶湖の自然の魅力を紹介する。
「A展示室」でひときわ存在感を放つのが、400万年前の湖周辺にいたゾウに近い種とされる、高さ4mのツダンスキーゾウ。全身骨格化石の複製の左半身に生態を復元した、世界初となる半骨半身の展示となる。
この半骨半身のゾウは、生態を復元した正面からも、骨格化石の複製側である後ろからも観察することができ、さらにお腹の下にもぐることもできる。骨格標本を見るだけではわからないゾウの姿をよりリアルに想像することができる。
古琵琶湖の地層から発見された2種類のワニの化石から復元した、古琵琶湖にいた種に近いクロコダイル科のワニも展示。また、約400万年前に三重県にあった湖が、 徐々に移動し、約43万年前に現在の琵琶湖の位置になったという経緯を認識できる6種の種類の木製の地形模型も「A展示室」で観覧できる。
ペットボトル1300本からできた、全長7.5mとなる龍がナビゲートするもう1つの展示室「B展示室」では、「森」「水辺」「湖」「里」を舞台に、人は自然とどのように向き合ってきたのかを紹介。「龍」をナビゲーターとして、琵琶湖を中心とした環境史をたどっていくことで、今の人々の暮らしにどのようにつながっているかを明らかにしていく。
■龍と琵琶湖の関係はーー?
ナビゲーターの龍は、日野町にある信楽院の雲竜図をモデルに作成されたもの。水をつかさどる水神である龍は、琵琶湖や流れ込む川、源である山など県内各地でまつられている。また、1804年、琵琶湖の西岸でトウヨウゾウの化石が発見され、当時の人はこれを龍と考えたのだろう。 バラバラに出てきた化石を組み合わせて描かれた「龍骨図」からそれが読み取れる。
琵琶湖の水上交通の主役だった丸子船は、歌川広重の浮世絵『近江八景』が掲げられた壁際に展示されている。船にタブレット端末やスマートフォンをかざすと、ARによって帆をはり、琵琶湖上を進む丸子船の姿を江戸時代の湖周辺の風景とともに眺めることができる。